普段捨ててしまうフルーツの皮をつかった、暑い夏にうれしいレシピがアメリカ在住のヴィーガンクリエイター、坊坂夏子さんから届きました。レシピをご紹介する前に、5年前に家族でプラントベースの食生活を始めたという坊坂さんのお話を伺います。
初めまして、NY在住の夏子です。5年前にいきなり夫と2人の子供を巻き込んで、プラントベース食を始めました。
ヴィーガンになる気なんてこれっぽっちもなかった当時、興味本位で見たNetflixのドキュメンタリー「ゲームチェンジャー(The Game Changers)」に影響を受けたのがきっかけです。「どんなものかやってみよう」と軽い気持ちで始めたところ、私の人生が変わりました。
うちでは私がほとんど料理を担当していたので、夫には「前は君の料理を楽しみにしてたのに、その楽しみがなくなった。」「この料理には味がない」と不満を言われたり、野菜が苦手な息子にどうやってプラントベースの食事を食べさせるか、毎日試行錯誤と苦戦を繰り返す日々が続きました。
そんな私がプラントベース食を取り入れながら家族の食事を作っていく中で学んだことの一つは、「慣れ親しんだ味を忘れない」ということです。これって当たり前の事のようですが、新しい食事法を始めると、つい新しいレシピや調理法に走りがちで、意外と意識しないと気づかないことだと思います。
数日間パリに出張で行った際、毎食ビストロやカフェのフレンチヴィーガン料理を食べ続けた時があって、その時に気がついたのですが、私にとってお肉や乳製品を食べないことはそんなには難しくなかったのです。でも和食の味が食べられない事は、何日かすると耐えられなくなりました。街中に見つけたパリのおにぎり屋さん「Gili-Gili-Onigiri」に駆け込み、頬張ったおにぎりの味は忘れられません。
その時から、慣れ親しんだ味をプラントベースで再現することが解決策だと気づきました。
パリのおにぎり屋さん @Gili-Gili
私の夫はジャマイカ出身です。その学びから私は彼が大好きなジャマイカ料理をプラントベース化して作るようになりました。ひよこ豆とココナッツミルクのカレー、インゲン豆とダンプリングのココナッツミルクシチュー、ライス&ピーズ、アキー(ジャマイカの黄色いフルーツを使った料理)、コーンミールポリッジなど。すると夫は喜んでくれるようになりました。
子供達にはピザ、パスタ、ハンバーガー、マカロニ&チーズ、ラザニア、パンケーキ、などアメリカンで子供に人気なメニューをプラントベースで作るとやはり好評です。
私は昔から好きだったラーメン、お寿司、お鍋、ネギトロ丼、冷麺などの和食をプラントベース化するのが好きです。こうして我が家の定番料理は、私と夫のそれぞれのルーツや子供達が慣れ親しんだ味を反映した料理となりました。
もしプラントベースの食事に移行するのが難しいと感じていたり、家族があまり良い反応をしてくれない場合は、自分や家族の好きな料理や故郷の味、子供の頃から慣れ親しんだ味をプラントベースで再現してみることをお勧めします。
私がプラントベース料理を始めてから、料理が大好きになった理由の一つは、そのクリエイティブさです。動物性食品の味や食感を、野菜、穀物、ナッツ、フルーツなどで再現する試みはすごくおもしろいと思います。
プラントベースネギトロ丼のつくり方
私は小さい頃からお寿司が大好きで、特にネギトロは大好物でした。
例えばスイカの皮の白い部分を海苔、醤油、味醂などに漬けてオーブンで焼くと、マグロのお刺身のような食感になります。それにアボカドを加えるとトロっぽくなって、ネギと胡麻とわさび醤油で和えると、まさに私が小さい頃から大好きだったネギトロの味になります。それをホカホカの雑穀玄米ご飯の上にのせて食べるともう私の至福の食事です。
漁業の乱獲による魚の激減に加担する事も、魚に含まれる海の汚染からの有害物質や飽和脂肪酸の心配もなく、罪悪感フリーで美味しいネギトロ風丼が食べられる、こんなのって素晴らしいじゃないですか。そしてアメリカに住みながら、ここで手に入る食材で、子供の頃から慣れ親しんだ味をプラントベースで再現することができる、そんな感動から私はプラントベースのお料理やライフスタイルに魅せられているのです。
今回はそのネギトロ風丼のレシピを紹介します。
その他にも家族に評判な我が家のプラトベースレシピは@plantnatsでシェアしています。
文・写真/坊坂夏子
アメリカ生活歴26年(NY在住)、2児の母、広告業でクリエイティブディレクターをやりつつ、PlantNatsとしてプラントベースの食に関する発信、コンテンツ、レシピ研究、講座、ケータリング、料理教室、などを行う。プラントベース栄養学資格取得。ベジママ勉強会講師/ベジライフデザイナー。
Instagram:@plantnats