アロハ!ハワイの夫婦「おひさまファームズ」代表のヒデキこと山根英樹です。前半は私の記事、後半は妻ユキの記事になります。
今回はワイキキの隣にある、アラモアナ地区のコンクリートジャングル内にひっそりと佇むハワイ古来のブレッドフルーツ(日本名「パンの実」、ハワイ語では「ウル」)の木についてお伝えします。
 
															アラモアナショッピングセンターからケアモク通りを山の方に歩いて行き、ウォルマートを過ぎてキング通りと交わる交差点の角に大きな緑地が見えてきます。地元の人もほとんど知りませんが、ここはハワイ州政府農務省の敷地です。実はこのブレッドフルーツの木(2本あります)は10年前に当時農務省の正職員だった私が同僚と共に二人で植樹したものなのです。
 
															当時は膝下にも満たない高さの苗木でした。上司がどこかから寄贈され、それをハワイ古来の大切な植物なので農務省の敷地内に植樹しようということになりました。ちなみにブレッドフルーツは桑科の植物で、ポリネシアなど太平洋の熱帯・亜熱帯地域で古くから主食とされ、栄養価が高いことで知られています。その実は、蒸したり、焼いたり、揚げたりすることによりグルテンフリーの主食となります。蒸したものは味がパンに近いと言われますが、私感ではむしろサツマイモに近い味だと思います。
 
															昔のハワイ人はこれを主食としており、西欧文明に接触するまではハワイの自給率は100%を超えていたと言われています。残念ながら今日ではその自給率が10%以下とも言われています。
これから10年先、20年先、30年先にもこれらの木がハワイですくすくと育ってくれれば嬉しいです。この土地だけは過熱気味のホノルル再開発の嵐に合わないように切に願っています。そしてハワイの自給率が少しでも上がっていることを心から祈っています。
次号に続きます……ここからは妻ユキの記事をお楽しみ下さい。
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夫ヒデキに引き続き、おひさまファームズのユキです。この記事がアップされる時期にちなんで、今回はハロウィンに関するお話を書きたいと思います。神秘に親しい私ですが、幽霊と呼ばれる存在に関しては私の肉眼では見えません。ただ、その質によっては感知しますし、肉眼ではない目に映り込みもします。その影響は時に深刻なので、自らスイッチを入れることは稀です。しかしながら意識とは裏腹に回避できない場合も多く、それらは「尊い経験」として心に残しています。以下に記すのは、そんなお話の一つです。
数十年も前、私がアメリカの大学生だった時の出来事です。仲良しの上級生が秋の新学期から住み始めた寮に、頻繁に出入りしていた頃。その寮は最上級生の数人のみが入れる寮で、コロニアル調の素敵な古いお屋敷でした。友人と私は、その寮の地下にある洗濯室がお気に入りで、そこで一緒に勉強をするようになりました。昨今の柔軟剤は香害化も進みましたが、当時は少なくとも人間の耐性が優っていたのでしょう。乾燥機の熱が運ぶその温かい香りと洗濯機の雑音の中、逆に落ち着いて勉強がはかどったのです。
 
															今回の写真は、ご近所さんのハロウィンの飾り付け。これは昨年の写真ですが、年に一度のイベントに、個人がこの巨大な物体を購入するダイナミックさに感動しました。
ただ、私には一つ気になることがありました。例えば、友人が席を外して私が一人になるたび、なんとなく別の気配を感じるのです。そしてその瞬間に、長いブルネットの若い白人女性を、肉眼ではない目が捉えてしまう…。上述したようにその理由は自覚していますから、そういう時は自分なりの対処をします。とはいえ、相手もそれ以上介入してくる様子はなく、不思議と恐怖心もなかったのであまり気にはしていませんでした。
何度かそんなことがありつつ、もうすぐハロウィンという夜。私はまたその寮にお邪魔していました。すると、玄関から学校のセキュリティと職員が入ってきて、「大切な話があるから、寮生はラウンジに集まるように」とのお達し。私は部外者なので、友人の部屋で話が終わるのを待っていました。戻ってきた友人は、真面目な顔で私に言いました。「ハロウィンの日に知らない人が訪ねてきても、簡単に玄関の鍵を開けちゃいけないって」。それ自体は普通の注意喚起に聞こえましたが、友人は深刻な口調でこう続けました。「昔、ハロウィンの日に、この寮で殺人事件があったんだって……」。
 
															そしてこちらは、最近の写真です。少しポーズを変えて、今年も同じ場所に設置されていました。保管もきっと大変だったはず。まだお昼だったので、目の赤いランプは消えていました。
友人によると、ハロウィン当日に「ガールフレンドに会いにきた」と告げる男性が訪ねてきたため、気軽に玄関扉を開錠した女子生徒が、その場で見ず知らずの男に命を奪われてしまったのだと。それも、その現場は友人の部屋の真横。そんな悲惨な事件が二度と起こらぬよう、そして完全に忘れ去られてしまわぬよう、セキュリティと職員は毎年ハロウィン前にこの屋敷の寮生に伝え続けているのだと。その話を聞きながら、私の中では地下室でのブルネット女性が当人として浮かんでいました。
私達はショックのあまり、それ以降は洗濯室で勉強をすることもなくなりましたが、あの時、私が一人になるたび現れた彼女は、事件の伝達を予告していたのかもしれません。「私に起こったことを、どうか知ってね」と。決して私に恐怖心を与えなかった彼女は、事件が語り継がれることを望み続けていると思います。今では知る人も増えてきましたが、常人の理解を超えた数々の惨事が、ハロウィンを理由に起こります。それらが知られることで、可視の世界には回避できる悲劇があり、不可視の世界には昇華できる魂があると私は信じています。
 
															写真・文/おひさまファームズ
ヒデキ
サンフランシスコ生まれ。東京育ち。ホノルル在住。広告代理店、旅行代理店、豪州クィーンズランド州政府、ハワイ州政府農務省、イギリスの経営大学院、ハワイの大手銀行勤務を経て独立。コンサルティング、不動産、米国農務省統計局の調査員の仕事の傍ら農業に従事。著書に「小さな会社でもできる海外取引」「グローバル職人になろう!」「漂流アロハ」「Drifted Aloha」などがある。
ユキ
絵と音楽と物語の創作家、宇宙の神秘を読む夢想家。米国の大学を卒業後、神授的な創作の仕事に長く携わる。芸術分野の他、神秘哲学、占星術、数秘術、各種卜術、古代史、神話学、宗教学、図像学、色彩学などに明るく、食や代替療法も探究。タロットチャンネル「雪猫座 Hawaii」をYouTubeにて開始中。
 
								 
															
 
								

