毎年2月は、世界各地から「オーガニック」を標榜する企業が、ドイツ・ニュルンベルクで開催されるBIOFACH(ビオファ)という見本市に集結する。見本市が盛んなドイツは、会場の規模も日本とはけた違い(詳細はこちらの記事を)で、今年のBIOFACHの来場者は140か国から3万5000人以上、出展者は94か国から2300人以上、まさに情報と人の十字路だ。会場に足を踏み入れると、ヨーロッパ、アジア、南北アメリカ、アフリカと世界の全大陸から来ている出展者と訪問者を目にし、「ワールドステージ」であることを再認識した。

今回のメッセを訪問して現地で感じたことは、「オーガニック」は進化し続けている業界だということ。「健康に良い」「環境負荷を少しでも減らす」というコンセプトは、かつて「味気ない」「洗練されていない」というイメージが付いて回っていたように思う。ビオ、

だけど、パッケージは色とりどりになり、ラインナップは豊富になり、更に「ヴィーガン」「プラスチックフリー」「動物実験無し」 といった小さなカテゴリーが記載された商品も増えてきた。目でも楽しみ、舌でも味わえる商品を日常的に手に取れるようになっただけでなく、「買い物は投票」という意識を持った消費者が、


世界中のオーガニック商品を実際に手に取り、
JAPANパビリオンと抹茶

ドイツでは和食の人気は恒常的に高く、特に現地のオーガニックスーパーでは、味噌や梅干しなどの和食の専用コーナーが用意されているほどだ。特に、「見た目もおしゃれ」かつ「健康的な」抹茶は、一般的な飲食店やスーパーマーケットでも人気が高まっている。確かに、私が住む町でも、日中韓の食べ物が並ぶ一般的なアジアンスーパーの、お客さんの半数以上がドイツ人を含む欧州出身。SNSの影響もあり、いわゆる「日本ファン」ではない層にも抹茶は身近な存在になっていることを、私も肌で感じている。
「試飲しませんか?」
日本からの出展者が集結しているJAPANパビリオンで、
一方、今回JAPANパビリオンが会場の入り口から一番遠いホールに設置されていたことが気になった。だから、元々和食に関心のある来場者はこのパビリオンを訪問するけれど、「ちょっと覗いてみようか」という温度感で、他の来場者に気軽に立ち寄ってもらうことは、場所的に簡単ではないという印象を受けた。また、日本から出展している抹茶の企業は当日何社もあり、「有機抹茶は、すでにレッドオーシャン」という声も寄せられた。

ドイツで、「安全」で「技術力が高い」というイメージを持たれている日本の製品。海外の見本市は文化もビジネスのやり方も異なるため、現地で商談を進めることは決して簡単ではない。ジャパンというブランドを背負った出展者が新規コンタクト先を獲得し、そして抹茶を含めた日本の食文化が、欧州で一過性のブームで終わらず、今後も愛着を持たれることを改めて願った。
文/金 明希 (きむ みょんひ)
1991年東京生まれ。