いらなくなったものは、必要な人のもとへ。ベルリンのサステナブルな文化をご紹介!– KiKi

こんにちは、ベルリン在住のイラストレーター・KiKiです◎

皆さんは、不要になったものたちをどうしていますか?
わたしは、まだ使えるのにもったいない!と思い、日本にいた頃はリサイクルショップや古本屋さんに持って行っていました。

田舎で子供が少ない地域で育ち、親戚やご近所の方たちに絵本やおもちゃ、お洋服などのおさがりを頂くことが多く、古いものを大切にする習慣が身近だったこともあり、すぐに捨てるということはあまり好きではありません。そして長く大切に愛用されているものの方が優しい魅力を感じます。

でもたまに中古品として販売するほどのものではないし、そんな時間も手間もかけられないし、もっと簡単に誰かに譲りたいと思うときがありました。例えば近所の道端に置いて、通りかかった必要な誰かが持って行ってくれたらいいのに、とか。

なんとベルリンでは、その”道端に放置スタイル”が日常的に行われていたりします。この街では、たくさんのサステナブルな習慣が自然に根付いているのです。

前回の記事で紹介した『食料レスキュースーパーSirplus』のように、ベルリンでは『不要な物を必要な人のところへ届ける』ことをみんな日常的に意識しています。その背景には、様々な人種・様々なバックグランドを持った人たちが暮らしているからだと、日々感じています。

そんなベルリンのサステナブルな習慣を3つ、ご紹介したいと思います。

まるで、道端での宝探し!『zu verschenken』

誰かの不要になったものたちが、本当になんでもない道端にダンボールや紙袋に入った状態でぽんっと放置されているのですが、これを『zu verschenken』といいます。

丁寧な人は『zu verschenken』と張り紙が貼ってありますが、基本ないものばかり。でもベルリンの人たちは、これらを『zu verschenken』なんだろうなあと、街の日常の一部として捉えています。そして欲しいな、と思ったら自由に持ち帰っていいのです!

放置されているものは、本や雑貨、誰かの教科書、ハンガー、服、大きくなると、机に椅子に、ソファー、ベットのマットまで。

『zu verschenken auf die straße stellen』とGoogleで画像検索してみてください。いろんなものが道端に放置されている写真がいっぱいあって、面白いですよ。

よく近所を気分転換に散歩に行くのですが、道端に放置されたダンボールを見つけると、ワクワクして中身を覗いてしまいます。
もちろん状態が良くないものもありますが、中には掘り出し物なんかもありますよ。

私が今まで見つけた掘り出し物ベスト3
・1日以上保温が続く、水筒(コーヒーや紅茶の持ち運びに重宝しています!)

・アンティークの可愛いタッパとお皿!(部屋に飾る以外にも、実際のお料理に大活躍しています!)

・古い昔の絵本たち(ドイツ語の勉強にも!)

ベルリンから、電車で1時間ほど揺られてつくポツダムにある小さな村を探検していたときは、大量の梨が『Verschenken』としてカゴいっぱいに入れられて置かれているのに出会ったことがあります。

そのカゴが置いてあった家のお庭を覗くと、たくさんの梨がなっている木がありました。これは、ご近所さんや通りかかった人たちへのお裾分けだったんですね。4つほど頂いて持って帰り、家で梨ケーキを作りました◎ なんだか、心があったかくなった1日でした。

『古着回収BOX』は、街のいたるところに。


『Verschenken』として、服も放置されていることがありますが、ベルリンには別に『古着回収BOX』もいたるところに放置されています。

街の人たちは、不要になった服たちをここに持ってきます。このBOXに集められた服たちは、発展途上国など、本当に必要としている人たちのところへと届けられるのです。

私はベルリンで何回かお引越しをしているのですが、荷物を減らすために『古着回収BOX』を活用しました。ゴミとして捨てるのではなく、必要な誰かのもとに届けることができると思うと、自分の気持ちもハッピーに。今必要でなくなったとしても、愛用していたものたちなので、それが誰かにまた使い続けてもらえると思うと嬉しいです。

ちなみに『古着回収BOX』を運営している会社が経営している、『HUMANA』と言う古着屋さんがベルリンにあります。もともと古着ファッションが好きだったこともあるのですが、こちらで買い物をすると売上金が発展途上国への支援に寄付されますし、可愛い掘り出し物もあるし、意識的に服はここで買うようにしています。

HUMANA:https://www.humana-second-hand.de/mode/first-class.html

Instargam : https://www.instagram.com/humanasecondhandgermany/

飲み終わった空き瓶は、酒屋さんやスーパーの回収BOXでお金に戻ります。

こちらで飲み物を買う場合、飲み物代と一緒に容器代(Pfand)も強制的に支払う義務があります。それらは飲み終わったと、酒屋さんのカウンターやスーパーに設置してある回収BOXに持っていくと支払った容器代が戻ってくるという仕組みになっています。

こちらが容器代が返ってくるマーク!

容器によって違いますが、値段はだいたい0.25セント(約33円)ほど。塵も積もれば山となる!ちなみに0.25セントあったら、こちらではプリンを1つ買えちゃいます。

この制度のおかげで道端での飲み物の空き容器の放置はなくなり、街の人たちも自主的にお店へ空き瓶を返しに行きます。そうして回収された瓶たちは、リサイクルへと回っていくのです。

昔は日本でも同じようにビール瓶などは酒屋さんに持っていくと、お金と交換してもらえたというお話を聞いたことがあります。ネットで調べたら今でも交換してくれる酒屋さんがあるそうですが、探すのが大変そう。もう一度、日本でもこの制度を復活させて日常化していけたら、いいことばかりなのになあと、こちらの回収BOXにいく度に思います。

まとめ

いかがでしたでしょうか? 『Verschenken』なんかは『ご自由にお持ち帰りください』と書いた張り紙を貼って置いておけば、日本でも出来そうですよね。私はこの間、初めて『Verschenken』をしたのですが夕方頃には空になっている箱を見つけて、なんだか嬉しくなりました。

何かを捨てようとしたときに一度『これ、誰かが必要かな?』と考えてみてください。もし誰かの顔が浮かんだのなら、捨てずにその人に連絡をとって小さな循環の輪をつくってみましょう。


KiKi / イラストレーター
西伊豆の小さな美しい村出身。京都造形芸術大学キャラクターデザイン学科卒業後、同大学マンガ学科研究室にて副手として3年間勤務。その後フリーランスに。2016年夏よりベルリンに移住。例えば、私のように小さな集落で暮らしている子が旅立つ時期を迎えたとき、『世界はこんなにも広くて、こんなにも選択肢があるんだ』と気付けるようなものを残していけたら、最高だなと想いながら絵と文章をかいています。

Portfolio site : http://kiyonosaito.com/

instagram : https://www.instagram.com/kikiiiiiiy/

 

 

 

 

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