デンマークの「ヒュッゲ」をはじめ、これまで北欧のライフスタイルを日本に紹介してきた芳子ビューエルさん。心身の健康を叶えるうえで欠かせない「ウェルビーイング」について考えます。
新型コロナウイルスのパンデミックは、
多くの人々が健康リスクや経済的不安、孤独感を経験し、 最近の調査ではパンデミックがもたらしたメンタルヘルスの問題が 依然として課題であることが示されています。
そこにきて、 最近毎日ニュースで聞かない日がないトランプ米大統領のさまざまな新政 策。特に関税措置に関しては、 今後の世界経済の鈍化や国際関係の悪化など複合的なリスクが生ま れていると感じます。
そして漠然とした『不安』 を感じるのは私だけではないと思います。
とはいえ、 私たちは日々自分たちの生活を守っていかなくてはなりませんし、 より良いものにしていく必要があります。 ウェルビーイングを保つためには、心と体のバランスをとり、 より良い状態に保つことが必要です。
みなさんは「よかった探し」を聞いたことがありますか?
1980年代、テレビアニメでも有名になった『 愛少女ポリアンナ物語』で一躍有名になりました。
どんなことが起きてもその中からよかったと思えることを探し出す「よかった探し」で、周りの人も、 そして自分をも幸せにしていくという話です。
この「よかった探し」は、日々の生活の中で起こりうる良いこと、 悪いことまたは悲しいこと、怒りを覚えることなどの中の、“良いこと”に焦点を当てるというだけのことです。
悲しいことに焦点を当てたり、 怒りを覚えることに焦点を当てると、気分も悪くなりますし、 一日中気持ちが落ちます。
こんな状態が続くと、健康に良いはずがありません。
アニメや映画の中にもこの『愛少女ポリアンナ物語』 に似たものがあります。
『となりのトトロ』は宮崎駿監督の作品ですが、 日常生活の中でほんの少しの「よかった」 を見つけることの重要性を教えてくれます。
また、山田洋次監督の作品『幸せの黄色いハンカチ』では、 どんな状況にあっても「よかった」 と思える瞬間を見つけることができるというメッセージが伝わって きます。
『スラムドッグ$ミリオネア』というダニー・ボイル監督の映画も、 どんなに厳しい状況であっても「よかった」 と思える瞬間が存在することを気づかせてくれます。
このように「良いこと」に焦点を当てると、 たとえそれが小さなことであったとしても、 そのこと自体を思い起こせば幸せな気分になります。
それがウェルビーイングにとって、とても重要なポイントです。
まずはこの「よかった探し」を始めてみませんか?

文/芳子ビューエル
株式会社アルトスター・株式会社アイデン 代表取締役。ウェルビーイングアドバイザー。北欧流ワークライフデザイナー
1998年にJERTOから派遣されて以来北欧とゆかりが深く、デンマークのライフスタイル「ヒュッゲ」をいち早く日本に紹介。テレビや雑誌でも、ヒュッゲの第一人者として日本での取り入れ方を紹介しているほか、世界幸福度ランキングにまつわる「幸せ」についての各種講演なども行う。その後コロナ禍を経て、各個人の心の健康や心理的な満足、そして社会的に良好な状態にあることが重要だと考えるようになり、「ウェルビーイング」の概念に共感。「ウェルビーイングアドバイザー」としての活動も開始した。著書に、『世界一幸せな国、北欧デンマークのシンプルで豊かな暮らし』(大和書房)、『fika(フィーカ) 世界一幸せな北欧の休み方・働き方』(小社刊)、『経営者のゴール~M&Aで会社を売却すること、その後の人生のこと~』 (あさ出版)など。