千葉県西船橋の住宅地に佇むのは、どこか懐かしい昭和な古民家の一軒家カフェ「foo’s cafe檜氣」。
マクロビオティック講師が運営するカフェがあると噂では耳にしていたものの、なかなか行く機会に恵まれなかったのですが、昨年の夏、友人に「おいしくて氣のよい素敵なカフェがあるので一緒に行きましょう」と誘われ、訪れました。
駅からの道のりは緑豊かな住宅地。路地を入ったところに、ひっそりと檜氣という看板が現れます。こんにちは!とお家にお邪魔するように扉を開けると、靴のままでどうぞと案内されます。
カウンターには焼きたての焼き菓子が並び、アットホームながら、整然とした店内には季節のお花が飾られ、サンキャッチャーや精麻など、場の氣を整える配慮が感じられます。
席間もゆったり取られ、ほっとくつろげる空間です。お一人で切り盛りされているのに、メニュー数の多さに心躍ります。
固定観念を覆すおいしさ
ベテランのマクロビオティック講師の料理へのイメージは、正直なところ、圧力鍋で炊いた玄米ごはんに、質素で茶色いおかずとお味噌汁の玄米菜食定食……を描いていたため、正直なところそんなに期待はしていませんてした。
店内に掲示された黒板には、日替わりのメニューや本日のスイーツが書かれています。
黒豆コロッケ、お豆腐キッシュ、ベジぎょうざ。加えてアジフライや美桜鳥たれカツという文字も。そして定番メニューには車麩カツ、ベジミートの油淋鶏や唐揚げ、カレーまでずらり!選ぶのに悩んでしまうくらい魅力的です。
スイーツはサンプルをテーブルまで持ってきてくれます。日替わりのケーキやマフィン、タルトや小豆ぜんざいまで、こちらも目移りしてしまいます。それに、どれも目を見張るほどの奮発したサイズに驚かされます。
お店はシェフのワンオペなのに、料理が提供されるまでもさほど待つこともなく、そして美しく盛り付けられたプレートが運ばれてくると、わぁっと笑顔が溢れます。この世界観に共感します。
料理についても、1テーブルごとに丁寧に説明をしてくださることにも頭が下がります。汁物からメイン、漬物にドレッシングまで、一品一品すべてが美味しい。
熟練した経験とセンスから生まれるブレない腕に安心感を持てる、調和とはこういうこと、と感じます。からだが喜び、心が満たされます。
デザートは白玉小豆ぜんざいも、ケーキもどれもおいしく、抱いていた概念を覆されました。
時代の移ろいとともに、古いマクロビオティックのままではだめなのよ。と柔軟で囚われのない言葉と笑顔で、ほっとさせてくれるのも嬉しいです。
オーナーシェフの檜山扶佐子さんにお話を伺いました。
■カフェをはじめた経緯を教えてください
——リマ・クッキングスクールや千葉などでマクロビオティックの料理教室をしていて、食事だけでなく集えて皆が才能発揮できる場所を作りたいと思い描いていました。主人の知人だった写真家の北井一夫さんのお弟子さんからお話で、この物件とのご縁をいただき「ここだ!」と直感で感じスタートしました。
カフェ店内に飾られる写真家の北井一夫氏の作品
■マクロビオティックとの出会いと経緯を教えてください?
——マクロビをスタートしたのは26年前、体調不良からでした。3人の子育てをしながら、「まどか園」というシュタイナーの幼稚園を友人達と立ち上げていた頃、特にめまいがひどかったんです。友人の一人にマクロビオティックをやってるママがいたのですが、不調は直感的に食生活からきていると思い、リマ・クッキングスクールに通い始めました。
食を変えると不調は改善し、マクロビオティックの面白さにはまっていきました。リマ・クッキングスクールに通いながらアシスタントをし、比較的に早い段階から自宅にて料理教室を開催しました。並行して2004年から17〜18年間はリマクッキングスクールの専任講師も務めていました。今は西船橋のこの場所で教室とカフェを運営し、今年で11年目になります。
■檜山さんの今後のビジョンを教えてください
——今までもこれからも食の大切さを伝えること。いろんなものか溢れすぎてるいま、簡易・簡単なものでなく、自然なものをいただくことや手づくりの大切さを伝えていきたいです。
■大切にしていることは?
——たのしく、おいしくが基本!! 心身を元気にしてくれる「食」だからこそ、楽しくておいしくなくてはならないと思っています。そのためにも私自身が常に楽しみながらカフェや教室に立つことで、来てくださる方々も居心地よく楽しんでもらえると思っています。
マクロビオティック講師であり、国際中医薬膳師でもある檜山さんの作る料理やスイーツは彩りが美しく、バランスもよい。そしてとびきり美味しい。なにより、マクロビオティックやヴィーガンの食生活をしている人でなくても、男性でも子供でも満たされ喜びを感じるものです。
どんなに忙しくても、常に笑顔で調理から接客までをスマートにこなすスーパーウーマン。おいしく楽しく食べて心身を満たしてくれる、足を伸ばしてでもまた訪れたい、おすすめしたい素敵なお店です。さまざまな食制限などの対応も可能な限りしてくださいます。是非健康相談などもされてみてください。
(おひとりで運営されていて、フードロスのないようにするためにも事前予約制となっていますので、ご注意ください)
foo’s cafe 檜氣
住所:千葉県船橋市印内1-8-27
電話:047-431-4455
営:水~土: 11:30~17:00 (料理L.O. 14:30 ドリンクL.O. 16:30) 、18:00~21:00 (料理L.O. 20:30 ドリンクL.O. 20:30)
休:月火日祝
HP:https://fooscafe.owst.jp/
Instagram:@foos_cafe_hinoki
写真・文/千葉芽弓(ちばみゆみ)
ベジフードプロデューサー/ Tokyo Smile Veggie主宰
「日本の伝統とナチュラルVEGANフードを未来に繋ぐ」をキャッチフレーズに、健康や環境、フードロスなど社会問題の解決や、食の多様性への対応のためのカフェやレストラン、宿泊施設の持続可能なメニュープロデュースや商品開発・コンサルティングならびに教育・普及啓蒙活動を行う。食を通じた復興ならびに地域創生事業、レシピ開発、食養生や食育・料理セミナーやパーティケータリング、ライター、メディア発信、イベント企画など幅広く活動している。
ホームページ:https://www.vegemiyu.tokyo/
Instagram:@vegemiyu
◆「Tokyo Smile Veggie」~トーキョーにベジなおもてなしを