日本では女性初の内閣総理大臣が誕生しましたが、世界的にみたら、女性のトップは決して珍しくはありません。
女性トップで一番世界中にその名前を知られているといったら、イギリスのマーガレット・サッチャー氏だと思います。在任期間はなんと、1979年から1990年と11年間に及びます。
彼女はオックスフォード大学で科学を学び、そして卒業後弁護士になったというちょっと変わった経歴の持ち主です。「鉄の女」という異名を持ち、厳格な経済政策と強硬な外交政策を展開したことで有名です。
北欧はというと、ノルウエー、デンマーク、スウエーデン、フィンランドと、どの国にもすでに女性のトップが存在しています。
ノルウエーでは2013年にはに女性首相エルナ・ソルベルグ氏が当選し、2021年まで在任しました。
彼女の政権は教育改革、環境政策、移民政策などを推進し、特に経済成長と福祉のバランスをとることに注力したことで知られています。
デンマークでは2019年にメッテ・フレエリクセンが女性首相となりました。
当時40歳という若さで就任したことは有名です。
彼女は若い世代の支持を受けて、特に社会問題、環境問題、移民政策に注力して、COVID-19の対応に関しても、厳格な措置を講じたことで評価されています。
スウエーデンではマグダレナ・アンデションが2021年に首相に就任しました。
彼女は経済政策、福祉制度の維持、環境問題への取り組みを重視しています。
フィンランドはサンナ・マリンという女性が2019年に首相になりました。わずか34歳で就任し、「史上最年少の首相」として注目されました。
彼女は環境問題や平等、社会的公正に焦点を当てた政策を推進しています。COVID-19のパンデミックへの対応においても、女性リーダーとしての手腕が注目されましたし、若い世代からの支持を受けました。
ただマリン首相の若さと経験不足から軽率な行動でもいくつかフィンランド国民から指摘されていたことは事実で、パーティー参加問題やダンス騒動、客同士のトップレス騒動、公費の私的利用など、もしこれが日本だったらすぐに政治の場から引き摺り下ろされてしまっていたのではないかと想像します。
北欧諸国では一般的に男女平等が重視されており、政治の場でもかなりの女性が参加しています。平均的にみて、約43%が女性政治家です。
それに対して日本は、わずか13%です。特に衆議院においては10%を下回ることもあります。
このため、日本では政策決定過程における女性の視点や意見が十分に反映されていないという指摘があります。
日本の場合、その社会性を鑑みても、女性がトップに立つことが難しいということだけでなく、「公人」のあり方は難易度が他の国に比べてかなり高いと感じます。フィンランドのような問題が一つでもあったら、即刻職を追われてしまうのではないでしょうか?
そういう意味においても、新総理の高市早苗さんには頑張ってほしいと一日本人女性として思います。
文/芳子ビューエル
株式会社アルトスター・株式会社アイデン 代表取締役。ウェルビーイングアドバイザー。北欧流ワークライフデザイナー
1998年にJERTOから派遣されて以来北欧とゆかりが深く、デンマークのライフスタイル「ヒュッゲ」をいち早く日本に紹介。テレビや雑誌でも、ヒュッゲの第一人者として日本での取り入れ方を紹介しているほか、世界幸福度ランキングにまつわる「幸せ」についての各種講演なども行う。その後コロナ禍を経て、各個人の心の健康や心理的な満足、そして社会的に良好な状態にあることが重要だと考えるようになり、「ウェルビーイング」の概念に共感。「ウェルビーイングアドバイザー」としての活動も開始した。著書に、『世界一幸せな国、北欧デンマークのシンプルで豊かな暮らし』(大和書房)、『fika(フィーカ) 世界一幸せな北欧の休み方・働き方』(小社刊)、『経営者のゴール~M&Aで会社を売却すること、その後の人生のこと~』 (あさ出版)など。



