コロナ後の世界を廻り、出逢った新しい世界の体感情報の後編。6回目はカリブ海に面したメキシコのおしゃれでラグジュアリーなリゾート地トゥルムについてご紹介します
veggy読者のみなさま、こんにちは。2021年夏から、約2年半の間、ひとりで旅を続けるアロマデザイナー、Happierアキコです。ナチュラルな保湿剤シアバターに禅の香りをブレンド、こころ落ち着く時間をお届けしています
旅を始めて2年半が経過しました。カリフォルニアに住む家族との“リモートファミリー”ぶりも板についてきました。子供たちを夫に託し、旅の1年目は日本のユニークな“コミュニティー”を訪ね歩き、2年目は“世界一周券”を片手にアジア〜モルディブ・イスタンブールを経由し、欧州9カ国、更にメキシコのおしゃれリゾートTULUM(トゥルム)に数か月滞在しながら新しい時代のリトリート拠点づくりをしています。心も身体も健やかな“ホリスティック”を探求しながら「旅」は現在も続いています。「旅」のアップデートは共宰しているオンラインサロンで紹介中、「星」「旅」にご興味あるかたは是非☆
★2022-2023年世界一周のルート(約10か月)★
東京>①ホーチミン(ベトナム)>②プーケット(タイ)>③マレ(モルディブ)>④イスタンブール(トルコ)>⑤アテネ⑥ザキントス島(ギリシャ)>⑦ベルリン(ドイツ)>⑧アムステルダム(オランダ)>⑨ハンブルク(ドイツ)>⑩ストックホルム(スゥエーデン)>⑪ヘルシンキ(フィンランド)>⑫ダブリン(アイルランド)>⑬パリ(フランス)>⑭バルセロナ⑮イビサ島⑯マヨルカ島(スペイン)>⑰リスボン⑱カスカイス⑲ファティマ(ポルトガル)>⑳カンクン㉑トゥルム(メキシコ)>東京
1.Hello again Tulum メキシコのジャングルリゾート トゥルムへ
私の旅はアジアにはじまり、モルディブ・イスタンブールを経て、ヨーロッパ8カ国を3か月かけて滞在。欧州の最後は、ポルトガルのファティマ。ここはカトリックの三大奇跡と呼ばれる聖地。知人から紹介された奇跡のルシアさんの孫ジュリオさんにも逢うことができました。ファティマからリスボンに戻り、そこからポルトガルの航空会社TAP航空で一路メキシコ・カンクンへ約9時間の空の旅。
12月、だいぶ寒くなりなりダウンを着ていたヨーロッパから一転、カンクンは半そで1枚の暑さ。南国らしい生ぬるい風が私を出迎えてくれて、ごった返したカオスな空気を堪らなく愛しく懐かしく感じる瞬間。ここからの冒険時間をハッキリと予感させる。
カンクンはカリブ海に面した世界に名だたる観光地。アメリカやカナダからはもちろん、欧州からもたくさんの人が訪れる。カンクンはビーチ沿いのオールインクルーシブホテルへのゴージャスな滞在が有名ですが、ビーチから離れたセントロ(中心地)にはローカル向けの中小ホテルも沢山あって、意外とリーズナブルな滞在も可能。
私が活動拠点に選んだTulumトゥルムは、カンクン空港から南に約2時間、赤いADO BUS(アデオバス)に乗ってトゥルムへ向かいます。トゥルムのバスターミナルはカンクンと異なり大型バスも3台入れる程度の小ささで、待ち合わせもはぐれることなくスムーズ。トゥルムから割といろいろな場所に出掛けることができて、マヤ文明ピラミッドで有名なチツェンイッツァ、その手前にある可愛らしいコロニアルな街バリャドリド、自転車で遺跡を廻れるコパ遺跡、カンクンとの途中にあるプラヤデルカルメン、そこからフェリー40分で行ける世界中のダイバーの憧れの場所コスメル島などなど。おすすめしたいスポット満載のカリブ海リゾートです。
上:メキシコでおなじみのADOアデオBUS、途中休憩は無いものの車内にトイレが設置されているので長距離でも安心。車内ではスペイン語の映画がいくつかあるディスプレイで見ることが出来ます。下:マヤ遺跡チツェンイッツァへはTulumから約2時間、日帰りが可能(バスは1日1往復)
トゥルムの街に到着すると、ターミナル前で待つタクシーまたはコレクティーボと呼ばれる白い乗り合いバンに乗って宿泊先に移動します。クリスマス前後などハイシーズンには高値をふっかけるタクシードライバーやレストランが見られるので、事前に状況を調べたり、バスに近いホテルを探すのが安心かもしれません。
治安はまずまず、というのが実情ですが、日本と違うので危ないエリアに近づかないように注意が必要。夜間お出かけする際は宿泊先に行き先の安全や交通状況を確認した上で出かけるのが良いでしょう。それでも…こんなに美しいトゥルムの景色を、風を、きっとリアルでみなさんにも感じて欲しい…こんな景色が日常だったら、人生のほとんどの苦しみや悲しみが癒えてしまうことでしょう。
Tulumのカリブ海ビーチは白砂に覆われ、年中開放的。特に冬の温暖さはニューヨークやバンクーバー、欧州からの長期滞在者が多い。冬に温かい場所を求める渡り鳥のように、毎年TULUMに滞在する富裕層やリモートワーカー達が集う場所となっている
マヤ文明のトゥルム遺跡は世界でも珍しく海沿いにある遺跡のひとつ
2.Tulumのエコリゾート AZULIKの自由で不自由なエコを体感
Tulumはいま、世界でもっとも熱いエコリゾート地のひとつ。ホテル、という枠組みを取っ払うような革新的なホテルやアパートメントが続々と誕生している。2023年12月には待望のTulum国際空港が完成し、マイアミ経由便などで更に多くの観光客のデスティネーションとなることが予想されています(2024年1月現在、Tulumの空港付近では道路の渋滞が深刻化しています)。
AZULIKはTulumを象徴するようなたたずまい。外観のワイルドさもユニークながら、一切の直線を排除した建築様式を実現した事実に圧倒される。床面も一切平らがないので、例えばスーツケースなどはホテルスタッフが肩に担いで運ぶ不便さもプラスされている、ということ。宿泊は一泊US1000ドル前後とかなりハイエンドな部類にはなりますが、他にないユニークなAZULIKでの滞在は新しい発見の連続が約束されているようなもの。宿泊者以外の立ち入りは入り口でかなり厳しく確認されているため見学のみは不可ですが、テマスカル(Temazcal、スウェッドロッジとも呼ばれ、テント式蒸し風呂のこと)やヨガなどの外部も参加可能なイベント(AzulikのWebsiteから申込・支払が可能)、またはスパ・食事などの際に利用できるので、Tulumを訪ねたら一度AZULIKで“異体験”をしてみるのがおススメ。
ビーチ側から見たアズリク
宿泊者以外も参加出来るイベントも幾つかある、スパも充実しカップルで受けられるメニューも
私がAZULIKに一歩足を踏み入れ、ヨガが行われる自然素材でつくられたドームに辿り着くまでに、流れる川の上にある飛び石を超えて向こう岸に行ったり、まるで迷路のような内部を冒険のように歩き、それ自体が“非日常”の体験だったことに気付きました。足での“移動”それ自体が“エンターテイメント”であり、楽しさ、ワクワク感がこの場所に盛り込まれています。クリエイティブで刺激的な空間から、様々なインスピレーションを得られることでしょう。参加したヨガも空間のおかげかとても神秘的で深く入っていくことができました。
3.Tulumの空がきれい、それだけでサイコー☆
トゥルムに数か月暮らしていると(メキシコは日本のパスポートだと1度で6か月まで滞在可能)、空が広くて、色彩豊か、自然と一体感があるのがここでの“日常”だと気付く。カリブ海から平原が広がり、高いビルもないため、だいぶ遠くまで地球を一望できる場所。なかでも朝日が出る様は圧巻で、毎朝日の出を見るために屋上に上って太陽を拝む、これは飽きることなく続けられた私の日課でした。ジャングルのリゾートTulumにいるってそんなことの連続。朝が来て、夜が来る。自然の営み、自然とリンクして暮らすことを最優先する、それ自体がここを愛する人たちとの“共有財産”のように感じている。ある日のこと、太陽の光があまりに美しくて、私は自転車を漕ぎながら自然と涙が頬を伝ったことがある。美しいものを美しいと愛でる、ただそれだけ、シンプル。
トゥルムってどんな場所?と聞かれると、私にとって“人間らしくピュアで生きられる場所”、メキシコシティ出身の20代メキシコ人の友人は「トゥルムはChillだ」と表現する。つまり“リラックスした” ”ゆっくりした” 時空感覚を楽しむことができる場所。
TulumのChillでGood Vibeを持つ場所として世界的に注目され始めていて、名だたる音楽イベントや、ワークショップが連日行われ、観光客もどんどん増加中。昔と違ってだいぶトゥーリスティックになったという人もいるけど、Tulumを愛する人のなかでやっぱりここは他と違う自由がある。自分自身の快適さを大事にし、相手のそれも大事にしてお互いのユニークさを認め合える“自由とリアル”がある街。突き抜けた個性を持つ人たち、直観的かつ野性的な感覚が鋭い人が多く暮らす街。
ヨーロッパ系の移民が多い影響か、ストリートには洗練されたおしゃれな店が多く、お土産ものもセンスが良く色彩バランスが絶妙にいい。メインストリートから1本裏道に入ると静かで更にCozy。マヤローカルと異文化のミックス具合が、外国人の私にも心地良い。より洗練され、より開放されていて、私がこの街にはじめて来た時に既に「ここになら住める!」と直感し、そしてトゥルムの魅力にすっかり魅了されてしまった。
トゥルムの街には壁画アートが多く、それぞれの個性を見て回るのも楽しい
4.Tulumのオーガニック、ヴィーガンレストラン
欧米の観光客やヨーロッパからの移民が多いトゥルムの市内のレストランでは、どこでもほぼ確実にヴィーガンオプションがあり、ベジタリアンにとても心地よい環境が整っています。中でも私が感動したのは、フレッシュなジュース屋さんがたくさんあり、どこも最初からシュガー抜きで作られていること。メキシコ人は甘いものを好む文化があって「砂糖抜き」を頼んでもドリンクが甘すぎて飲めないという事態は長期滞在には結構なストレス。これがないところもトゥルムで過ごすステキなところ。オーガニックはまだ普及には至らぬものの、セントロに1つ近隣でとれるオーガニック野菜+キムチなどの発酵食を販売するお店も。
トゥルムのおすすめベジタリアンレストランはこちら
その名の通りブリトー店。観光客向けのお店なので英語も通じ、細かなオプションもだいたい対応可能。特にお試しいただきたいのはグルテンフリーでもある「ココナツ粉で作るトルティーヤ」で巻いたベジタリアンブリトー。
半分に切っても大きいので、2人でシェアするのもGood。皮のパリッとして美味しいところ、中の野菜もジューシーで、ベジタリアンでなくても大満足のボリューム感と美味しさ。
ベジタリアン料理専門カフェ、ここのべジタコスはヒカマJicamaのスライスが山と盛られ、じんわり甘くシャキっとした歯ごたえも楽しめる
*注:El Vegetarianoはオーナーが2023年秋に変更したのでメニュー変更の可能性有
街のメインストリートからほど近く、見つけやすいロケーション。ここも朝食からディナーまでほぼ途絶えることなくお客さんが入る人気のベジタリアンレストラン。メニュー構成はアメリカ的なハンバーガーをはじめ、ビーガンチョリソーやオムレツなど、あらゆる好みに対応できそうな幅広さ。スープも数種類ありメキシコ的な朝食を試すのもおススメです。開放感あふれる店の外観でトゥルムらしさ全開。
5.トゥルムで人生レッスン、“日本魂”を海外で伝える情熱
初めてトゥルムに来たのが2022年冬。当時少し体調を崩していて、いつになく頻繁に和食を欲していた。トゥルムで通っていた日本食レストランがTomizen。その同じお店が、1年後に再訪した時にはラーメンバーTomizenに変わっていた。新しいオーナーやシェフが加わり経営体制が刷新されてお店のコンセプトがアップデートされ、「ラーメン」で勝負する野望と知性を兼ね備えた30代の日本人たち。情熱でこの地にムーブメントを起こそうという彼らの奮闘を、今回のトゥルム滞在中、間近に体感できた経験は、人生後半に差し掛かった私にとって人生の大きな転換点となった。
メキシコでは一般的に「ライフ」「家族」が何よりも優先される。仕事に遅刻しそうになって走る人はいないお国柄。走る人は泥棒だけ、とよく言われる。メキシコ人と待ち合わせる時「時間」は単なる目安であって、時間通りとはまずならない。これがメキシコでの“普通”。個性的で多才なメキシコの若者たちと快適に働くこと、しっかりどう働かせるか、というのはなかなか手ごわいところ。時間を守る、という感覚自体が存在しないため、あまり注意すると今度は職場に来なくなるため、手綱さばきに絶妙さが問われる。
トゥルムのメインストリートに面しているTomizen。中庭までとても開放的で風が通る気持ちのいい空間
お店をどう盛り立てていくのか。単に海外でビジネスを立ち上げる、だけでなく、日本で食べるより美味しいラーメンをトゥルムで実現するための運営オペレーション、世界中からクールな人たちが集まるトゥルムで認められる美味しさの追求、ラーメンをどう世界にアピールできるのか、日々現地スタッフやお客さんとどう関わっていくのか。毎日、大小さまざまな“事件”が起こり、その速やかな“解決”を繰り返しながら、暮らしをかけ・人生をかけ、それぞれの目標を「ラーメン」を通して達成していく彼らの心臓の強さと頭の柔軟さ。そんなしなやかで逞しい生き方に接していたら、自分自身がいかに狭い視点や古くからの慣れに無意識に固定してしまい、物事が整っていない環境で柔軟に動けない不自由さを実は自身で創り出していることに気付かされていた。
メキシコでビジネスをすることの厳しさ、それは想定外の“幅”が広すぎること故かもしれない。業者さんに頼んだ部位のお肉はある日違う部位を持ってこられたり、営業日にも関わらず材料が来なかったり、輸入した食品が冷蔵されずに常温で届いたり、日本では返品できるべきものも受け取るしか術がなかったり。そんな事態が起きても常に冷静で「いま・ここ」でどうしたらベストが尽くせるのか、瞬時に考え行動できる逞しい日本の若者たちの熱いハートと鋭い感性。私は多くの学びを彼らとの出逢いから得ることができました。世代的な違いも多分にあるものの、基本的な“人格“や責任の引き受け方を含む“考え方”に柔軟さの大切さに気付かされ、私に“出来ない理由”を言わせないだけの彼らの奮闘ぶりを目の当たりにして、人生の課題を浮き彫りにし、かつ、引き受けるという過程がここで起こったのでした。自分より年下の気鋭ある日本人たちにトゥルムで出逢ったことから学んだことは私の長い旅路のなかでとても大切な人生レッスンとなり自分の真の姿をさらしだし、自己認識を正しくするという意味で重要な気づきとなりトゥルムはやっぱり特別な場所であり続けるのでした。
気付かぬうちに古くなっている”自分”という「OS」を新しいバージョンにアップデートするために、インスピレーションに任せた「旅」をし、だいぶ年下の「師匠」を得て個性をぶつけ合うことは、新しい時代に適応するための必須と感じています。
ある日のまかない豚骨ラーメン、ビールによく合う!
店内製麺風景
具も全てお店で手づくりの餃子とラーメンの麺、Vegan Gyozaも人気
6回の世界の旅連載の機会を頂き、Veggyさん、みなさま、読んでいただきどうもありがとうございます。みなさま、また旅のどこかでぜひお逢いしましょう?
写真・文/Happier有輝子アキコ
トゥルムの拠点は2-3人泊まれるスペースを来春からAirbnbで貸し出し予定、ご興味ある方はぜひご連絡ください、プールもあるよ!
Website: www.Happiergifts.com
Instagram: https://www.instagram.com/happiersheabutter/