第2回 ムクロジの実で家中をピカピカに♩
読者のみなさん、こんにちは。3月も半ばに入り春めいてきましたね。カナダでは春になると話題になるのがスプリングクリーニング「春の大掃除」です。冬の間に溜まった汚れを春に一掃する慣習があり、今の時期、店頭にはお掃除グッズが目立ち始めます。そして私がお掃除アイテムとして注目しているのが、ムクロジの実です。
ムクロジの実(乾燥して種がない状態)
皆さんは、ムクロジの実って、聞いたことがありますか?漢字表記では無患子、英語ではソープナッツ 、ソープベリーと呼ばれる、温暖な地域に生える落葉高木です。日本では本州、四国、九州の山地で見られ、お寺や神社によく植えられているようです。この木のすごいところは、英語名を聞いてピンと来た人がいるかもしれませんが、実の果皮にサポニンが含まれていることです。サポニンとは、天然の洗浄成分で、水に混ぜるとブクブクと泡が立ち、せっけんのような役割をしてくれるのです!石油を原料とした合成洗剤が導入される前の日本や北米では、ムクロジがせっけんとして使われていたんですよ。
私の住んでいるオタワには、エコショップや量り売りの店で、ムクロジの実(乾燥され種がない状態)が販売されています。ムクロジの実の用途は多岐にわたりますが、一番人気は洗濯洗剤としてで、ムクロジの実を入れる洗濯用の布袋もセットでよく売られています。私はムクロジの実をお掃除用の洗剤として使用するので、購入した実からは洗剤液を作ります。これを使って床や窓ガラスなど家中をピカピカに磨いています。簡単な作り方をご紹介しますので、ご興味のある方はぜひ試してみてください!
洗濯洗剤としてムクロジの実は人気。ムクロジの実を5つほど布袋に入れ、そのまま洗濯機に入れるだけ。
ムクロジの実ナチュラル洗剤液D I Y
用意するもの
・ムクロジの実(乾燥したもの) 1カップ
・水4カップ
・洗剤を入れる容器
作り方
1.鍋に、水とムクロジの実 を入れて、弱火~中火で30分ほど煮ます。
(ブクブクと泡が立つので水が溢れ出ないよう気をつけてください。酸味のある匂いがします。)
2.冷めたら容器に入れて冷蔵庫の中で保管します。1週間ほど持ちます。
3.お使いになる際は、ムクロジ洗剤液を雑巾に浸して、お掃除をしてください。
*酸っぱい匂いが気になる場合は、アロマオイルを数滴入れても良いですね。
ムクロジの実を煮ると泡がたってきます!
容器に移したら冷蔵庫で保管しましょう。
日本ではインターネットで様々な販売店からムクロジの実を購入することが可能です。またお散歩の際に、ムクロジの実を探してみるのも楽しいかもしれませんね。ムクロジの木は、6月頃に花が咲き、秋に果実ができます。冬から春にかけては落ちた果実を収穫している人がいると聞きました。お散歩の際に見つけたムクロジの実を持ち帰って、ナチュラル洗剤液を作ってみるなんて、昔の日本にタイムトリップした気分になりますよね。(※種は取って乾燥した実をお使いになってください)
また手作り洗剤は楽しいだけではなく、体や地球への負担も軽減することができます!
前述したとおり、市販されている洗剤の多くは、石油を原料とした合成洗剤で、合成界面活性剤という化学物質が入っています。長期にわたって使用することで、人の健康に有害な影響を及ぼす恐れのある化学物質もあると懸念されています。
さらに市販されている洗剤のほとんどがプラスティック容器で販売されているので、家で洗剤を作ることでプラスティックの使用量も減らすことができますね。
ムクロジの実は使い終わったら、そのまま庭や畑の肥料としても使えるのも魅了的です。我が家の庭にもムクロジの実がゴロゴロと転がっています〜。
環境と人とお財布にやさしいムクロジ洗剤。今年の春はこれで家中をピカピカにしてみませんか?
※本記事に掲載された内容によって生じた損害等の一切の責任を負いかねますので、ご了承ください。
文・写真/小倉マコ
兵庫県姫路市生まれ、カナダのオタワ在住。フリーランスライター(コミックエッセイの原作、P R、新聞記事、コラム)をしながら、アートスクールで絵の勉強もしています。主な著書『日本びいきのハーフっ子と里帰り』(イーストプレス)『姑は外国人』(角川書店)
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