「高校生なのにお肉食べないなんて栄養足りてる?」「女の子は動物性の脂を摂らないとダメだよ」「授業中に眠いなんて卵を食べなくなったからじゃない?」
9ヶ月ほど前、高校生でありながらプラントベースド食を選択するようになった当初、友達や親戚から、このようなことを耳が痛くなるほど聞かされました。もちろん、私を想って言ってくれていることは分かっているのですが、自分の選択を否定されると、少し悔しく思うものです。バランスの取れた菜食の素晴らしさ、そしていかにそのチョイスが取り組みやすいものかを、なんとかして周りの人に伝えたい……そんな思いからヴィーガン情報を発信するインスタグラムを始め、通っている高校では「Plant-based Society」(=菜食部)を立ち上げたのでした。
自己紹介が遅れましたが、フランスでプラントベースド食を実践している高校2年生の木村さらです。2020年上旬に行われたロックダウンを機に、以前から気になっていたヴィーガン/ベジタリアン/ラクトベジタリアンの生活を始めてみたところ、あまりの変化に驚き、それ以来プラントベースドライフを送っています。
甘党の私が大好きなデザートオーツ
Vol.1となる今回は、まず私がこれまでどんな生活を送っていたかを簡単にお話ししたいと思います。
私はフランスに住む前、イギリスで暮らしていました。当時の私は、世界中でプラントベースが広まりつつあることを知る由もありませんでしたが、家の近くに美味しいレストランがなかったため(苦笑)、家で食事をすることが多く、有機野菜をたくさん使用したバランスの良い食生活を送っていました。
地元の有機農家さんから毎週取り寄せている新鮮な野菜たち
しかし、フランスに引っ越した途端、ステーキやチーズ、クリーム尽くしの食生活になってしまったのです。「美食の国」とも呼ばれるフランスでは、どのレストランに入っても“最高に美味しい”食事を頂くことができます。そして、そういった料理には強い中毒性があります。“中毒”というのは、舌が麻痺するほどの濃い味付けだけでなく、私達が目にするメディアや、人々の持つ潜在意識から起こりうるのではないかと私は思います。日頃目にするドラマや CMで繰り広げられる、すき焼きの最後の一枚の肉を取り合うシーンや、ステーキは極上であるという根拠のないインプットまで。
私たちは日々、肉が美味しく、人生において必要不可欠のものだという意識を植え付けられているのではないでしょうか?そして私自身もこのシステムにいつの間にか飲み込まれ、日々の食生活を疑うこともなく、気づいた頃には高校生だったのです。
何かと忙しい学校生活において、食事を優先的に考える時間などありませんでした。興味のある分野や、やってみたい事が増える一方で、学校からの膨大な量の課題が積み上げられ、友達に会う時間もない。すると当然のごとく「体調の平均点」がどんどん低くなり、体調を崩すことも増えていきました。
当時の私は、「寝不足なのかな」「もっと体を動かした方がいいのかな」など、ありとあらゆる原因を探っていました。それも食以外のもの全てに。
このように食を軽視していた矢先、新型コロナウィルスがヨーロッパでも広がり始め、気づけばフランスも外出禁止となっていたのです。もう以前のように対面授業で忙しくすることもなく、大好きなパリの街を散策することもできない。焦燥感とともに、家の中での息苦しさを感じていました。しかし、災い転じて福となす!この状況こそが私の人生をガラリと変えるきっかけとなったのです。
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文・写真/木村さら
フランス・パリ在住の高校生。プラントベースなライフスタイルを実践し、健康面・メンタル面ともに改善したことをきっかけに、SNSなどで積極的に情報発信を行なっている。
Instagram @kimurasara