東京都東久留米市は美しい湧水が自慢の人々の暮らしが息づく西東京のベッドタウン。この地で40年の歴史を持つクックたかくら。
三世代でオーガニック惣菜や弁当、ケータリングを手作りし、助け合い切り盛りする愛ある会社に訪問し、3世代目の鈴木大将(すずきひろまさ)さんにお話を伺いました。
創業の経

(写真:創業者の高倉夫妻と孫の鈴木大将さん)
1992年、時はバブル崩壊後の失われた10年と言われ景気低迷し、人々は生活を見直さざるを得ない時代に生まれたクックたかくらは、当初はイトーヨーカドーに隣接した「ヘルシーショップたかくら」から始まったそうです。
きっかけは愛娘(鈴木さんのお母様)のアトピー性皮膚炎の発症から、食を見直すことに行きつきました。日々口にするものが私たちの身体を作る。そこからオーガニックや無添加の食品を食すようになった高倉家は、アトピーの改善だけでなく家族のコンディションは皆よくなり、食べるものの力を確信します。
そこを機に高倉正雄さん、久江さん夫妻は脱サラし、自然食品店をスタート。
その中で野菜のロスが出ないようにと料理が得意だった久江さんが作り始めた惣菜が人気になります。
そこから惣菜を冷凍して届けることに切り替えていきます。
今でこその冷食ブームですが、先見の明があったのでしょう。

プラントベースとのニ軸に。

冷凍惣菜をスタートして、1999年よりプラントベースのベジ惣菜もスタート。こちらも先駆的な取り組みで、のちには動物性を持ち込まない専用の工場(写真上)を立ち上げ、まずはそこで作るお弁当を工場の隣のテニスコートのテニススクールの方達への販売、そして路面販売から地道にはじめ、じわじわと人気になっていきました。

若きエース、取締役の鈴木大将さん
鈴木さんのお父様は元々蕎麦屋を営んでいました。
しかし、長男として生まれた大将さんが蕎麦アレルギーであることがわかり、そこからクックたかくらにJOINします。
大将さんは大学院を出て、新卒でそのまま同社に入社。
持ち前のコミュニケーション能力とアイデアで、他社や異業種との連携などで、クックたかくらは地域密着のみならず、販路も事業も一気に広がりができています。
冷凍ベジ惣菜は自社通販だけでなく、小売店導入、また飲食店導入で人材不足や作業効率の手助けになるように貢献。
2024年からはケータリング弁当やイベントケータリングなどもスタートし、最大500食のケータリングにも対応したことがあるそうです。

また、捨てられてしまう大豆ミートの未利用となる端材をもったいないという気持ちから、馬と人間が一緒に食べられるcosnackというおやつも開発し、展開しています。coはコミュニティのcoからとって名付けているそうです。

(写真:大豆ミートの端材の説明をする鈴木大将さん)
本業以外でも、日本サスティナブル・レストラン協会のパートナー企業として関係性構築や、フェアトレードのゼミを青山学院の生徒たちと行ないともに考え、普及と認知を上げる活動をされています。
フェアトレード活動の一つとして、看板メニューのひとつのタコライスのタコミートのスパイス類をフェアトレードのものに切り替えるなど、使うことでストーリーを伝えるようにしているそうです。


使用するお米、野菜、大豆ミート全てこだわりの生産者さんから直で仕入れているそうです。効率よりも関係性や生産者の想いを大切に。だからこそ余すことなく食材を生かし切ることも熱が入ります。

見学した調理場でも、大根の皮や葉も活用した惣菜も見せていただきました。
手作りならではの愛情ある日本のよき食文化そのものの惣菜は素朴で美味しそうで、心があたたまります。

ボディメイクやアスリート用のあんこを使った飲むあんこのエナジードリンクも、面白いアイデアですね!
東久留米駅前のエシカル拠点、カフェ「kinone」と量り売り食料雑貨店「rootstock」
お弁当を納品販売している地元の育苗などを行う企業が営むグリーンが溢れる素敵な店にもご案内いただきました。

エントランス脇のテラスにはクックたかくらの冷凍ショーケースがあり、ベジボール、春巻き、コロッケなどの冷凍惣菜の販売もしています。


カフェのレジ横には、日替わりの弁当を毎朝納品して販売。カフェでいただくこともできます。ドリンクにはオーツミルクも用意されていてヴィーガンフレンドリー。

量り売りはナッツ、パスタ、豆、スパイスなどから洗剤類まで、ディスプレイもとってもすてきなサスティナブルで居心地よいお店です。
駅からもすぐ、テラス席はドッグフレンドリー、奥のイートインスペースはフードコートのように様々な店舗が並ぶ魅力的で多様性に対応するお店です。
クックたかくらのお料理が食べたくなったらぜひこちらへ!

kinone
おいしくなければはじまらない

この日のメニュー、タコライスとキーマカレーをいただきました。
フェアトレードのスパイスを使い、隣のテニスクラブの沖縄出身の方からアドバイスをもらい味を改善してきた自慢のタコライスは、爽やかでスパイスの塩梅も絶妙、大豆ミート特有のクセも全くない美味しさで、無農薬の雑穀米ご飯の美味しさとあいまって箸が止まらずあっという間に完食。
シェアしていただいたキーマカレーも、同様のクオリティの高さで、コロッケもついていて男性も子供も嬉しいおいしさです。
ありきたりのタコライスとキーマカレーと実はそんなに期待していたわけではなかったのですが、今までいただいたそれらの中でもトップクラスの美味しさでした。
これからのクックたかくら
今後のビジョンについて鈴木さんにお聞きしました。
「祖父母の想いを繋ぎ、コンセプトはぶらさずにさらに繋がりや広がりを大切に、知見者はじめ様々な方々とのご縁から、海外市場なと視野に入れ、前進していきたいと思います。
たかくらの得意とするちらし寿司のもと。ご飯に混ぜるだけで使えて、栄養価も高いプラントベースのちらし寿司の具を寿司ブームの中冷凍で流通することで、飲食店やご家庭まで普及させ看板メニューにしたいと思ってます。
また、生産者の応援になり、安全・安心・満足な食生活をだれもが実現できる笑顔あふれる世界を作ることをビジョンに、食から様々な社会問題解決に努めていきたいです」
大学院で、スポーツ国際開発学の研究をしていた鈴木さんの大きな視野と行動力で、これからのよりグローバルなクックたかくらが楽しみです!
鈴木さんの妹さんも同じ大学の同じ学部の大学院を出て、都内の自然派保育園で保育士として働いているそうです。こちらでも食育に力を入れていて、自然食にこだわりヴィーガンの給食も提供しているそうで、必然のつながりを感じているそうです。
将来的には隣接する畑で、ハーブや鮮度が命の旬の葉物なども自分たちで育てて使えるようにしたいと意気込みも話して下さいました。
個人的に購入してみた冷凍惣菜も、万人がおいしいと感じるどこか懐かしい味。お弁当の一品や、時間のないときの一品として忙しい現代人の救世主になると思います。
ぜひ召し上がってみてください。
時代が変わっても
クックたかくらの創業した1990年代から時代は大きく変わっています。
当時は認知がほとんど皆無に近かったヴィーガンやプラントベースも当たり前に耳にするようになり、AI化や生活環境もリモート化や単身世帯も増え、大きく様変わりしています。

しかし、いつの時代も変わらぬ手作り、日本食ベースのほっとする美味しさは普遍的価値です。また、島国日本の「もったいない」の考え、足下にある旬のものを余すことなく感謝していただくという本来あるべきことを思い返させてくれる。
伝統を守りつつも、時代背景に合わせた美味しさや環境の変化とニーズに合わせた食を三世代で追求し、普及・提供する高倉家・鈴木家の姿勢は模範的と思いました。
そして、どんなにいいものを作っても認知されなければ、そして事業継続できなければ本末転倒です。
三世代目の鈴木大将さんのそういった新しい目線、ビジネススキルが祖父母の想いを繋いで伸び代を広げていることは大きな力となり、これから時代を先導していくかもしれません。
クックたかくら
https://cook-takakura.co.jp/



