こんにちは、NY在住の夏子です。私の子どもたちはNY郊外の公立小学校と中学校に通っています。今回は、アメリカの給食事情と、私が作るヴィーガンキャラ弁についてお話しします。
アメリカの給食事情
アメリカの学校給食に驚いたのは、そのメニュー内容です。ホットドッグ、チーズブレッドスティック、モッツァレラチーズスティック、ピザ、ナチョスなど、まるでスナックのようなジャンキーな食べ物がランチの主食になっています。副菜としてブロッコリーやリンゴが付くこともありますが、例えばひよこ豆の副菜の日は、ほぼ誰も食べなかったと娘が言っていました。
娘に撮ってもらったカフェテリア給食の様子、NY郊外公立中学校にて。
一方、NY市内では少し異なり、月曜日は「ミートレスマンデー」としてベジタリアン料理、金曜日は「プラントパワーフライデー」としてヴィーガン料理が提供されています。これはNY市長が推進する、3年前から始まった健康的で環境に配慮した食事プログラムの一環で、実際にこの取り組みにより二酸化炭素排出量が40%以上削減されたそうです。週に1~2日でも、子どもたちがこうした食事を体験できるのは画期的だと思います。
NY市内の公立学校、プラントパワーフライデーのランチの例(出展:NYC Public Schools)
お弁当という選択肢
アメリカでは給食は義務ではなく、ランチを家から持参するのも自由です。NY州では公立学校の給食は無料で提供されています。日本のように給食を食べないために医師の診断書が必要ということもありませんが、うちの子どもたちの学校ではほとんどの子が給食を利用しています。
私自身、プラントベースの食事を始めてから、特に加工肉が多い学校給食を避けたいと思い、最初は子どもが好きではないメニューの日だけお弁当を持たせていました。けれど、しばらくすると「給食はおいしくないから、毎日お弁当がいい」と言ってくれるようになりました。
とはいえ、毎朝早起きして、子ども2人が喜んで食べる共通のヴィーガン弁当を作るのは大変なこともあります。温かいし、みんなが食べているし、やはり給食のほうが魅力的に見えることもあるかもしれない……。そんなふうに思いながら、ヴィーガン弁当だからといって子どもたちに引け目を感じさせたくない、給食をうらやましいと思わせたくないと考えました。
また、ヴィーガン弁当について周りから何か言われることもあります。息子は以前、黒い海苔を見たことがないクラスメートに「何それ、気持ち悪い」と言われたことがありました。私はそれを聞いてとてもショックを受けましたが、本人は私ほど気にしていなかったようです。
ヴィーガンキャラ弁で楽しく
そんな経験から、私は時々ヴィーガンキャラ弁を作るようになりました。せっかくなら、可愛く目立つヴィーガンランチにして、クラスメートから「いいな!」と思われるような楽しいお弁当にしたい。そして何より、子どもたちが蓋を開けたときに「わっ」と喜んでくれたら嬉しいからです。
ピカチュウやミニオン、マインクラフトのキャラ弁、節分の鬼弁当、こいのぼり弁当、ハロウィンやクリスマスのデコ弁などを作ると、学校でちょっとした騒ぎになることもあるそうです。お弁当文化があまり根付いていないこちらでは、持参のランチはサンドイッチを紙袋に入れたものや一品料理を保温ジャーに入れるのが一般的。キャラ弁が珍しいアメリカでは、クラスメートだけでなく、カフェテリアのスタッフや先生までもが「すごい!」と写真を撮ってくれたりします。「食べてみたい!」と言われることも多く、子どもたちもそんな注目を浴びて嬉しそうです。
私自身もキャラ弁作りはクリエイティブで楽しいと感じています。もちろん、毎日作るわけではなく、手抜きで保温ジャーに残り物を詰める日もあります。それでも、キャラ弁の日は特別感があって、お弁当の時間が楽しみになればいいなと思っています。
ヴィーガンキャラ弁の例。その他にもうちの子供に人気なヴィーガン弁当のアイデアなどを@plantnats でシェアしています。
日本のお弁当文化への思い
キャラ弁であっても、そうでなくても、日本のお弁当文化は本当に素晴らしいと思います。主食とおかずをバランスよく詰め、色合いや栄養を考えながら、毎朝違うお弁当を作る――これは簡単なことではありません。
私自身、小さい頃は母が毎日作ってくれるお弁当を当たり前のように食べていました。母は仕事をしていたので、特別凝ったお弁当ではなかったけれど、手作りのお弁当はいつもおいしかった。母が他界してから、「もう二度と母の作ったお弁当を食べることはできない」と気づいたとき、その尊さを改めて感じました。
家族が愛情を込めて詰めるお弁当には、子どもを元気にする力がある気がします。そして、この「お昼ごはんを通じて愛情を伝える」文化は、日本が誇るべきものだと思います。
そんな思いを胸に、ヴィーガン母の意地と日本のお弁当文化への誇りを込めて、今日も5:45にアラームをセットして眠りにつきます。明日はどんなお弁当にしようかな?
最近うちの子供に人気の味噌味焼きおにぎり弁当、色々動物のキャラを入れて作ってみました。
焼きおにぎりヴィーガン動物キャラ弁
材料
焼きおにぎり
- ご飯 1カップ
- 昆布だし麺つゆ 小さじ2(または醤油&みりん各小さじ1)
- 白胡麻 小さじ1/2
- 味噌 小さじ1
- みりん 小さじ1
- 海苔 少々
もちもち豆腐コーンナゲット
- 冷凍コーン(解凍したもの)1/2カップ
- 豆腐(絹・木綿どちらでもOK)1/4丁
- 味噌 小さじ1
- 片栗粉 大さじ3
- アオサや青のり(お好みで)
- ヴィーガンスライスチーズ、海苔(顔のデコレーション用、お好みで)
照り焼きベジロール
- インゲン豆 2〜3本
- にんじん 1本
- 油揚げ 1枚
- ライスペーパー 1〜2枚
- 醤油 小さじ1
- みりん 小さじ1
- 酒 小さじ1
ヒヨコマッシュポテト
- ジャガイモ 1個
- ニュートリショナルイースト 小さじ1
- 塩または塩麹(お好みで)
- コーン、黒胡麻(顔のデコレーション用)
その他デコレーション
- ブロッコリー
- ミニトマト
作り方
焼きおにぎり
- 温かいご飯に麺つゆ(または醤油&みりん)と白胡麻を混ぜる。
- クマや動物の型にしっかり詰める(型がなければミニ三角でもOK)。
- フライパンに油を引き、中火で両面を焼く。
- 焼き色がついたら、味噌&みりんを塗り、さらに軽く焼く(焦げに注意)。
- 冷めてから、穴あけパンチやハサミで切った海苔で顔をつける。
もちもち豆腐コーンナゲット
- コーン、豆腐、味噌、片栗粉、アオサや青のりを混ぜる。
- ナゲット型に成形し、フライパンで両面を中火で焼く。
- 焼き色がついたら塩で味を調整。
- お好みでヴィーガンスライスチーズや海苔で顔をつける。
照り焼きベジロール
- インゲン豆とにんじんを塩茹でする。
- 油揚げを湯通しして水気を絞り、開いて半分に切る。
- 濡らしたライスペーパーの上に油揚げをのせ、インゲン豆とにんじんを2本ずつ交互に置く。
- 具材を油揚げで巻き、さらにライスペーパーで包む。
- フライパンで中火で焼き、焼き色がついたら火を止め、醤油・みりん・酒を絡める。
- 4等分に切る。
ヒヨコマッシュポテト
- ジャガイモを塩茹でし、潰してニュートリショナルイーストと塩で味付けする。
- ボール状に丸め、コーンと黒胡麻で顔をつける。
デコレーション
お弁当の隙間に塩茹でしたブロッコリーやミニトマトを詰める。
時短のポイント
- 野菜は同じ鍋で時間差で茹でる。(最初にブロッコリー・インゲン豆、次ににんじん、ジャガイモは長めに)
- 焼く工程は同じフライパンでまとめてもOK(焦げないよう注意)。
- キャラの顔は、お弁当箱に詰めた後に仕上げると崩れにくい。
文・写真/坊坂夏子
アメリカ生活歴26年(NY在住)、2児の母、広告業でクリエイティブディレクターをやりつつ、PlantNatsとしてプラントベースの食に関する発信、コンテンツ、レシピ研究、講座、ケータリング、料理教室、などを行う。プラントベース栄養学資格取得。ベジママ勉強会講師/ベジライフデザイナー。
Instagram:@plantnats