写真と香りで世界を旅する【スウェーデン・フィンランドで魂が満たされる旅編】

コロナ後の世界を廻り、出逢った新しい世界の体感情報のの【後編】。ここから3回に渡ってお届けします!

 

veggy読者のみなさま、こんにちは。

2021年夏から、約2年の間、ひとり旅を続けるHappierアキコです。

 

旅を始めてから2年が経過し、“リモートファミリー”も継続中です。ティーンネージャーの子供たちを夫に託し、旅の1年目は日本のユニークな“コミュニティー”を、旅の2年目はスターアライアンスの“世界一周券”でアジア〜モルディブ・イスタンブールを経由し、欧州9カ国、更にメキシコのおしゃれリゾートTULUM(トゥルム)に数か月滞在し小さなリトリート拠点づくり。心も身体も健やかな“ホリスティック道”を探求しながら「旅」は現在も続いています。ここから3回に渡って、ヨーロッパでの発見とTULUMでの経験をレポートします。

 

★2022-2023年世界一周のルート(10か月)★

東京>①ホーチミン(ベトナム)>②プーケット(タイ)>③マレ(モルディブ)>④イスタンブール(トルコ)>⑤アテネ⑥ザキントス島(ギリシャ)>⑦ベルリン(ドイツ)>⑧アムステルダム(オランダ)>⑨ハンブルク(ドイツ)>⑩ストックホルム(スウェーデン)>⑪ヘルシンキ(フィンランド)>⑫ダブリン(アイルランド)>⑬パリ(フランス)>⑭バルセロナ⑮イビサ島⑯マヨルカ島(スペイン)>⑰リスボン⑱カスカイス⑲ファティマ(ポルトガル)>⑳カンクン㉑トゥルム(メキシコ)>東京

 

 

◆世界一周券を手に、アジア〜イスタンブール〜ヨーロッパ入り

 

私の旅はスターアライアンスの世界一周券を使って、アジアから西方向に進んでいます。東京を出発し、西回りでアジア>モルディブ>イスタンブールの後はヨーロッパに上陸。

 

今回の欧州訪問の目的は2つ。1つはヨーロッパの今を感じること、そしてもう1つは古くからの友と新しい友に逢うこと。

 

1.ストックホルムの街歩き

コロナが蔓延した2020年3月、スウェーデンは国境封鎖や学校閉鎖などをしなかったため、世界中からその”成熟した政策“の行方について注目を浴びていました。コロナ期を経て結果に賛否は両方あるものの、コロナ後のスウェーデンの暮らしを体感したい!飛行場から市街にはArlanda expressで約20分、スムーズです。

 

国際空港からストックホルム中央駅を結ぶArlanda express、速度は時速200㎞、1時間に4-6本運行、約26ユーロ

 

今回ストックホルム滞在で印象的だったのは現金のやり取りが1度もなかったこと。交通機関もお店での支払いも全てクレジットカードのみ。機械での乗車券購入はもちろんのこと、市バスも、駅のトイレを利用する時ですらクレジットカードがないと入場できない仕組み。スマート化した支払い方法はとても便利ですが、逆に捉えてみると、フィジカルなお金の交換行為は紙幣・硬貨を通して人との“接触”を生み、同時に、人と人とを繋ぐ大事な“エネルギー交換”の場でもあったことを改めて感じ、なんとなく居心地の悪さを感じていました。

 

中央駅、日中は人の往来が多く活気を感じる。構内ではスナック売店やSamsung製品のPRブースなども

 

ストックホルムの街角で見かける電動スクーター、整然とした様子に北欧の街らしさを感じました。 

 

1週間の滞在中、水辺の街ストックホルムをたくさん歩きました。北欧の気候は早く秋がきて、冬は日照3時間のみ、という厳しさがあるため、夏は郊外にあるセカンドハウスで過ごしながらたっぷり日光を浴びるのが北欧の定番。夕方の川辺は冬の寒さをイメージさせるほど、風には冷たく尖った鋭さがありました。

 

ある日ストックホルムの街を歩いていた時、長い間まったく思い出すこともなかった“場所”をいきなり思い出した瞬間がありました。それは、学生時代に初めてストックホルムを訪れた際に泊った船のユースホステルAf chapman。歩いて行くと、現在も続いて営業をしているのを発見。古い旅のかすかな記憶が突然、色鮮やかに蘇る瞬間。このように現地の空気を感じると、まるで脳の細かなひだの合間から古い想い出が蘇ってくるように、場所と時間のアップデートが出来ました。過去と現在が折り重なるマジック。

 

アフチャップマン全景。今でも船のホテルとして運用されている。ハイシーズンの夏利用だと1泊$50前後から

 

スウェーデンのおみやげ物はトナカイ・バイキングなど、とってもカラフル

 

 

2.ストックホルムでの再会・くらし

ストックホルムに住む友人のIngieは、17・18歳という多感な時期に同じAFSでアメリカ留学した仲間のひとり。留学後、お互い国に戻り、大学を卒業した後、彼女はスウェーデンにある難民援助団体に勤務しながら3人の子供を産み仕事に邁進。現在は離婚した夫との間を未成年の子ども達が1週間ごとに行き来するという、北欧では一般的な生活スタイル。

 

2020年3月。ロックダウンをしなかったスウェーデンでは、子供たちは通常通り通学していましたが、Ingieの仕事は自宅勤務日も増え働きかたもより柔軟に進化したそうです。私が彼女の家にお世話になっていた時も、Ingieは自宅で仕事をする合間に、子供たちの送迎をしたり、病院への行き来をしたりと日中フレキシブルにメリハリをつけて仕事をしていました。

 

ストックホルム郊外にある友人宅。スウェーデンは硬い岩盤なので宅地開発の際はダイナマイトで岩を切り出し道路と住宅を作るそう。このアパートも岩の上に作られています

 

今回は同じく留学仲間であるNeskeがインドネシアから、Hugoがスウェーデンの他の地域からJoinしてミニ同窓会となりました。多感な時期を共有した友と長い間離れ、異なる人生を過ごしながら、途絶えることのなかった交流。短い間でしたがお互いの人生のアップデートでは笑いあり涙あり。みな正直に自分の人生であった数々のこと、未来のことをシェアし、ハグし、友情を更新することができました。

 

物価全般かなり高いスウェーデンでは、基本的に家でシンプルに作って食事することが多いそう。ファーストフードでも1食1000円程、ですが外食先でベジタリアンの選択肢は割と豊富でした。

 

ストックホルム駅で見つけた大豆シシカバブ子羊肉とべジマックバーガー。 合宿のように楽しいストックホルムでの日々、友情に心の内側からじんわり温かくなりました。

 

3.グルテンフリーのパン屋さんMalvas

Ingieと一緒に街のおしゃれなパン屋さんMalvasを訪問。整然とした街の片隅に、こじんまりとした店構えですが、ひっきりなしにお客さんが立ち寄る人気のお店がありました。「Malvas」というお店の名前は、ここのオーナーでフードサイエンティストのLinaさんの娘さんの名前から。酸味があるドイツパンより少しマイルドな味わい、シンプルなサワードウ以外にも甘さのあるチョコやクロワッサンなど、全てのアイテムがグルテンフリー&ラクトースフリー。バターとミルク・本物のバニラビーンからつくるバニラクリームで作る生地を長時間発酵させることで味覚に深みをもたせ、長く美味しさを保ちます。

Malva’s gluten-free bakery Vikingagatan 18 Vasastan, Stockholm 

店の外にも香ばしい香りが。普通のパンと変わらない食感・満足度を目指している

 

このお店を始めるきっかけは、娘のMalvaさんが11歳でグルテンを吸収できない病気と診断されたこと。これをきっかけにLinaさんは10年もの時間をかけパンを作ることに情熱を持ち、2020年に1年間のベーカリートレーニング・数か所のベーカリーでのインターン経験を経て、お客さんの選択肢を増やし喜びを増やすことを目標にお店をオープンすることを決意。小さいお店ながら窓側に2-3席を用意しコーヒーを飲むことも出来ます。パンの材料のほとんどはオーガニックというこだわり。娘のMalvaさんは20歳となり、現在はお店で母のLinaさんと一緒に働いています。

 

 

4.ストックホルムからヘルシンキは船旅、そして街歩き

スウェーデンの首都ストックホルムからヘルシンキまでは飛行機か船の移動の選択肢。今回は船で移動することにしてみました。ストックホルムを16時45分に出発し翌朝10時半にヘルシンキの港に到着します。小さなキャビンですがシャワートイレ付の個室は$120USD程、船体が大きいためか意外と揺れも気になることなくゆっくり眠ることができます。翌朝の洋上の広々とした景色……この景色をゆっくり味わいながらのヨーロピアン朝食をいただくのはとても優雅な時間でした。

船内はレストランが数店、ムーミンストアなど買い物場所が数店、カジノなどゆっくり移動できるためスポーツチームの遠征などでも利用されている様子。個室へは迷路のような狭い通路を経て、小さいながら快適なつくり

 

夕飯は船内寿司レストランのベジタリアン丼

 

5.ヘルシンキのサンデーマーケット訪問

ヘルシンキの港では、ヘルシンキ在住の友人Heikkiが迎えてくれました。彼とは30年前の学生時代、フィンランドを旅した際に現地で出逢って以来の友達。ジャーナリストであり、何冊もの書籍の作家でもあるHeikkiの案内でヘルシンキの中心部Market Squareで行われているサンデーマーケットを訪ねました。

1.Heikkiの最新作 Okashi、日本のおやつをフィンランドで紹介しています。2.ヘルシンキの街を歩いていたら偶然!30年前飛行機で隣に座っていたMiikaご夫妻に遭遇のミラクル。左はフィンランドでのホストHeikkiさん

 

地元産の農作物やいわしなどの魚介類、ソースやジャム、ペーストなどの加工品に加え、ヘルシンキ料理のブースでは濃厚なバターベースのサーモンスープも。店に併設されたテント小屋ではじゃがいも入りの海鮮料理を頬張る人たちが会話を楽しみながら食事。マーケットにはベジタリアン料理の選択肢はほぼないものの、ヘルシンキの台所をイメージしながら、寒い季節を迎える前のローカル暮らしのひとこまを垣間見る経験となりました。

 

 

 

 

6.世界一の教育水準を誇るヘルシンキ図書館がスゴイ

 

今回、30年ぶりのフィンランド訪問で、一番驚いたのはヘルシンキ中央図書館の充実ぶり。世界一の教育水準を誇るフィンランドを体感できるオススメの場所。2018年末にオープンしたこの図書館はOodiと名付けられ、フィンランド国会議事堂の真向かいに位置し、この中央図書館は議事堂と目線の高さが同じというコンセプトで行政と国民の関係性を表しているというストーリーにまずグッとくる。そして流線形の建築がユニークで図書館を見かけた瞬間に心を奪われてしまいました。コンペで500以上の中から選出されたのはフィンランドの建築会社ALA Architects

 

 

3階建ての図書館の1階は図書館の受付とおしゃれなカフェスペース、3階まで上がれる螺旋階段が建築内部の大事なアクセントになっています。2階はグループワークルーム、個室、そして一番驚いたのは料金制の3Dプリンターがあること! ユーザー重視、かつ、先端技術をOpen to Publicにする国の教育に対する姿勢に脱帽です。

 

図書館2階の様子

 

3階にあがると、その解放感に圧倒されます。高い天井、ガラスと曲線で囲まれる柔らかく明るい空間のなかに秩序ある知的なオーラ。書棚が低く圧迫感がない設置、場の余白を大事にする哲学、画一的でない空間プラス家具の配置がそれぞれのお気に入りスポットを選べる自由な雰囲気。有機的に繋がっている様子の全体が美しい。

 

 

ヘルシンキ滞在でも友人のご自宅にお世話になり、超快適な滞在を実現してくれました。彼の著書はタイトル通り、日本をベースとしたストーリーや文化紹介をしていて、彼のジャーナリストとしての視点とアーティストとしての視点の融合はいつも私に新しい視界を示してくれます。とても大事な友人を今回ヘルシンキに訪ねることができて素晴らしいアップデート時間となりました。

 

 

私にとって、ソウルを満たす旅とは、逢いたい人と共に過ごす時間。近い・遠いなどの「距離」や「条件」ではなく、こころの底から逢いたいとお互いが想い合う時に、再会は実現できるんだという確信を得て、人生にステキな思い出とこれからの人生に“また逢いたい”というモチベーションが積み上がりました。

 

追記:ヘルシンキの空港で見かけたPhonebooth、絵になります

 

次回はスペインから、バルセロナ・イビサ島・マヨルカ島のレポートをお送りします。

 


写真・文/Happier akiko有輝子

2013年より、ヘルシーな食を通してより良い暮らしを目指すHappierプロジェクトを始動。2014年からカリフォルニア州を拠点に2021年夏から、旅をしながらの暮らしにシフト。暮らしのなかに“ひと息”つく時間を提供する「禅ブレンドシアバター」を禅僧と開発・販売する一方で、様々な方法で日本古来の食の叡智をベースとしたヘルシー・シンプルな暮らしを提案している。2児の母+夫は日本人。

Website:https://www.happiergifts.com

Instagram:@happiersheabutter

 

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