ハワイの夫婦「おひさまファームズ」徒然日記 Vol. 2

 

アロハ! ハワイの夫婦「おひさまファームズ」代表のヒデキこと山根英樹です。前回同様、前半は私の記事、後半は妻ユキの記事になります。今回は私が昨年参加したハワイの就農プログラムであるGoFarm Hawaiiについてお伝えしたいと思います。

 

ハワイ大学が主導するGoFarm Hawaiiは2012年から始まり、これまでに500人近くの卒業生を輩出した全米最大の就農プログラムです。このプログラムは合計4つの段階に別れています。第一段階はハワイ農業の歴史やプログラムの概要を知る2時間のオンライン講座でおよそ100名近くが視聴します。次に実際の農業に触れてみたいという人のために第二段階のコースがあります。ここでは前段階から選抜された約20名が毎週水曜2時間のオンライン講座と土曜のフィールドディと称されるオ農場見学とボランティア作業をしたりします。

 

多様なバックグラウンドを持つさまざま年齢層のクラスメイトたち同士でデザインした畝を観察し意見交換を行う。128エーカー(約52万平米)の敷地内でテニスコート2面分の農地を与えられて、自分で選んだ作物(約25種)を栽培収穫し、販売までを体験する。

 

そして第三段階として、もっと農業を真剣に学びたい、という人のために約7か月間の集中コースがあります。この段階になるとかなりの決意と根性が試され、選考も厳しく最終的に11名に絞り込まれます。実際に自分が栽培する25種類以上の作物の作付けと収穫プランを提出し、自分が将来描くハワイでの農業プランを発表します。

 

私を含めた11名のクラスメイトは多彩な職業や経歴の持ち主で、最年少は22歳、最高齢は55歳。日本人は私だけで他は全てアメリカ人でした。男女比率は6対4。学校の先生、ハワイ人のシェフ、映画業界人、お花屋さん、大学生などがいました。皆、自分の職業からの転職を考えていました。またハワイでは今、兼業農家という生き方を選ぶ新規就農者が増えているのも事実です。その根底にあるのは、天井知らずの生活費上昇を自給自足で少しでも軽減する、そしてハワイという自然を最大限に満喫するライフスタイルを選ぶアメリカ人の若者が増えているということです。

 

クラスメイトとコーチと共に神々しいコオラウ山脈をバックに

 

日常の仕事の傍ら、毎週水曜のオンライン講座と課題をこなし、土曜には早朝から午後遅くまで農作業と草むしりなどの雑用をこなし、同時並行して自分の作物を収穫し、洗浄、梱包し、自分で見つけてきた顧客に対して配達まで行うことは中途半端な気持ちでは続きません。真夏の時期は暑さと虫と戦いながら汗水垂らして踏ん張りました。私の人生の中でこれだけ土と触れ合ったのは初めてです。

 

栽培は化学品の肥料・殺虫剤・除草剤を一切使わない有機農法を学びます。やはりハワイ人が昔から愛してきた土を汚すことはマナ(ハワイ語で生命エネルギーを表す言葉)に反するとされ、その土を育むのがハワイに住む人のクリアナ(責任)と言われています。

 


まずは畝を起して堆肥をブレンドする

 

土壌、病害虫、生物学、栽培、販売などを体系的に学び、第3段階を修了すると修了書が授与され卒業となります。さらに自分で農地が見つけることの出来ない人は、申請することで同じ研修農場内の土地を3年間リースすることが可能です。ここには灌漑用水、洗浄施設、トラクター、農機具などをシェアさせて貰えるので初期投資を抑えつつ、農業をスタートできます。

 

 

自分の畑で採れた新鮮無農薬野菜たち

 

このプログラムはハワイの農業界に広く知れ渡っていて、修了者は農業管理の知識はもとより、忍耐力と決意にあふれた人材だと認知されています。したがってハワイで将来に農地を獲得したり農業支援金を取得したりする際に有利となります。

 

なぜハワイで就農プログラムに参加したいと思ったかというと、ハワイ州農務省に勤務していた時にハワイの自給率が15%以下で、ほとんどを州外からの輸入に依存しているということを知ったからです。自然災害、テロ活動、ストライキなどが起きた際に140万人の州民、そして勃発時に滞在している10万人近い観光客を養う飲料水や食料は約14日間で尽きてしまいます。そのような事態も見据えて州政府は2030年までに州内農業生産を2倍にするという目標を立てています。

 

しかし狭い国土、農家の高齢化、後継者不足が農業を衰退させています。さらに地元の若者は農業に対して3K(キツイ、キタナイ、キケン)というイメージを持っていて高所得の仕事に就くかアメリカ本土に移住してしまいます。

 

私はこれまでハワイの穏やかな気候と温かな心の人々に支えられて暮らして来て、ハワイのために何かできることは無いかと思うようになりました。自分の持つネットワークやマーケティングの知識や経験を活かし、効率的な農業で少しでも自給率の向上に尽力できないか、そして農業は自分で汗水流して体験してみないと分からないはず、と思い就農を志しました。

 

次号に続きます……、ここからは妻ユキの記事をお楽しみ下さい。

 

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今回も夫ヒデキに引き続き、おひさまファームズのユキです。現在ハワイは雨季ということもあり、雨の多い日が続いています。土地柄こちらでは雨を好まない人も多いですが、我が家の菜園にとっては恵みの雨です。そんな中で育った大根は、形は不恰好でも愛情はたっぷり。ヒデキが収穫してきたので葉は佃煮に、白い部分はローフード風のパスタ型大根にしてお気に入りのドレッシングでいただきました。我が家ではほとんどの場合、夫婦それぞれに好きなものを作って楽しく食べます。ヒデキは葉を味噌汁の具材に、白い部分は浅漬けにして食べました。

 

 

大根は葉も本体も大きいだけでなく、生でも加熱しても食べることができ、胃にも優しいとても便利な野菜ですよね。日本では冬野菜のイメージですが、年中暖かいハワイでもすくすく育つので、常備野菜のような感覚で非常に使い勝手が良いです。人為的に作られたおかしな規制さえなければ、このような野菜を人間はいくらでも育てることができますし、知識と道徳心があれば、野草や木の実などを皆で分け合って自然からそのままいただくこともできます。ですが、そんな平和的な本能を人間に忘れさせたいかのように、世界中で新たな食の変化がどんどん進められているのは常なる懸念であります。

 

最近では「誰が好んでそれを食べるの?」という物質を、粉々にして様々な食品に混ぜ込む手法が頂点にまで達してきた感があります。その動きに気づいている人はそういった物質をどのようにして避けようか、表示がされない可能性も含めて対応し始めていることでしょう。それがもし体に良いものであれ、食べたくないと思っている人に知らせないでその体に入れることは道徳違反といえます。逆に、どんなに体に悪いものでも、それを食べたい人が自ら好んで食べる分にはあまり問題はないと私個人は考えています。しかしここまで食の強要もあからさまになってくると、これまでは食の安全性に気をかけなかった人々も気づき始め、最終的には良い方向へ進み始めるかもしれません。

 

前回の記事で自己紹介的にお伝えさせていただいた「神秘畑」を耕す夢想家の独り言ではありますが、宇宙の神秘は常に正常な螺旋を描き、天に向かって動いています。その動きを止めることは誰にもできませんが、逆方向へ向かう偽物の螺旋を作って誘導し、その動きに人間を乗せることは簡単にできてしまいます。しかし偽物の螺旋に乗ってしまった場合でも、個々が「この動きはおかしい」と気づきさえすれば、正常な螺旋へはいつでも戻ることが可能です。それほどに「気づく」という働きは大きいので、あまりにもあからさまな昨今の強要が、多くの人の目を覚ましてくれることに多少は期待したいところであります。

 

そして強要といえば、3月の春分は占星術でのお正月といわれる始点にあたりますが、今年はその直後に時代を象徴する冥王星が大きく動きます。人間が目覚めることをそれこそ強要する星ですが、その力は人の手で逆利用もされてきました。きっと冥王星はそんな小細工を今回も凌駕しながら、新しい時代に向けての下準備をこの3月に始めることでしょう。

 

 

 


おひさまファームズ

ヒデキ

サンフランシスコ生まれ。東京育ち。ホノルル在住。広告代理店、旅行代理店、豪州クィーンズランド州政府、ハワイ州政府農務省、イギリスの大学院、ハワイの大手銀行勤務を経て独立。コンサルティング、不動産、米国農務省統計局の調査員の仕事の傍ら農業に従事。著書に「小さな会社でもできる海外取引」「グローバル職人になろう!」「漂流アロハ」などがある。

ユキ

絵と音楽と物語の創作家、宇宙の神秘を読む夢想家。米国の大学を卒業後、神授的な創作の仕事に長く携わる。芸術分野の他、神秘哲学、占星術、数秘術、各種卜術、古代史、神話学、宗教学、図像学、色彩学などに明るく、食や代替療法も探究。おひさまファームズの神秘畑として「雪猫座 Hawaii」をYouTubeにて開始中。

 

HP: www.ohisamafarms.com

Instagram: @ohisama_farms

YouTube: @ohisamafarms

 

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