
回復の食卓記 第三話「コマクサと泥団子」
コマクサという高山植物がある。生でみたことはまだないが、夏にピンク色の可憐な花を咲かせる。 コマクサが生息するのは、つよい寒風が吹くなかを礫(つぶて)と呼ばれる小石がはげしく移動する
コマクサという高山植物がある。生でみたことはまだないが、夏にピンク色の可憐な花を咲かせる。 コマクサが生息するのは、つよい寒風が吹くなかを礫(つぶて)と呼ばれる小石がはげしく移動する
朝いちばんに台所へ行き、昨日の味噌汁を温める。土鍋のふたをあけると、ふわっとたちのぼる深い潮の匂い。思わず遠い目になる。毎日嗅ぐ匂いなのに、なつかしくてたまらない。味噌汁を飲むとき、海を飲んでいるみたいだ
時を超えて 鎌倉で迎える二度目の新年。とくべつどの宗教を信じているなどもないので、気ままにいくつかのお寺や神社へ足を運んでいる。元旦は去年のように八幡宮を訪ねてみたけれど、長蛇の列だったので、
じぶんとたった二人きり このひと月のあいだ、今までになく一日が終わるのが早かった。午後二時台にはもう日が傾いて夕暮れが始まり、なんとなく町全体が店じまいをするみたいにして今日という日を終わらせ
めぐみのめぐは、巡るのめぐ 雨ばかりの季節を過ぎて、ようやく秋本番。お昼のあと、用事を済ませに外に出た。空を見上げると一面に広がる雲と雲のあいだが巨大な口のようにぱっくりと一直線に割れていて、そこから磨きた
好きな季節はなんですか 秋の足音が聴こえてくると、家が黙りこくった。梅雨のはじまりから四六時中回しっぱなしにしていた鎌倉暮らしの必需品、除湿機の運転をやめたのだ。大型でかなり騒音のするタイプなので、彼(彼女
クライマックス 真夏のピークが去った。やっぱりこの時期になるとフジファブリックの「若者のすべて」だ。もっとも初めてこの歌に出会ったのは春で、今年もまた桜がきれいに散っていったな、のそのあとで、しばらく片思いをしていた人
生きものたちと短い夏 夏の生きものたちは強烈だ。この前、浜で小さな小さな亀を見た。たまたま下を向いて歩いていなかったらまちがって踏んでしまいそうだったくらい、とても小さかった。足あとを辿ると浜の途中から始ま
-それぞれの四季- 鎌倉へ越してきて、季節がひと巡りした。一年前の強烈な光と匂いが戻ってくる。今までさほど感じてこなかった四季の巡りを鮮やかに感じながら過ごしたこの一年は宝物になった。植物、虫、動物、この世
–生きるとは、変わること– 梅雨入りを控えたある日、高校時代からの友人たちと四人で集まった。高校時代は毎日会っていたのが大学時代は月に一度になり、それでもわりとこまめに会えている気がしていたの
– すれちがう春 – 夏に鎌倉に越してきて、長い冬がようやく背中を向け去り、待ちわびた春がきた。さいきんは雨風の日も多かったけれど、これが春を連れてくるのだと思うと今までにないほどわくわくした。 今朝散歩を
三月を迎え、長い冬の出口がようやく見えてきそうだ。鎌倉では凍てつく寒さは去り、海も風も空も春色をしはじめた。冬がくると「あーまた冬だ」と思うのに、春はなんど迎えても「あーまた春だ」とはならない。朝が何回きても嬉しいのと一
みなさん、こんにちは! 関根愛(せきねめぐみ)といいます。わたしは映像や演劇をつくることに関わりながら、マクロビオティックマイスターや発酵食品マイスターなどの食養生にまつわる資格を活かし、さまざまな活動をさせていただいて