veggy的台湾ガイド ~台湾を日常に/台湾が日常に?~

1回 「60日に一度、台湾に滞在するということ」

<プロフィール>

大崎暢平

veggy副編集長

1977年、兵庫県生まれ。関西大学社会学部卒業後、『関西ウォーカー』の編集に従事。2008年にキラジェンヌ株式会社に入社。「veggy」の編集業務のかたわら、トークショーやイベントの司会者としても活躍。写真のポージングはプロインタビュアーの吉田豪氏リスペクト。民家に忍び込んで撮影したものではなく、台北にある出版社を尋ねた時のもの。

<イントロダクション>

大家好!

「veggy ONLINE」をご覧の皆さま、はじめまして!

『隔月台湾プロジェクト』が5年目に突入してしまったveggy副編集長の大崎暢平と申します。

“なんじゃそりゃ?”

そんな反応は至極ごもっとも。ですが、それはもう読んで字のごとくのこのプロジェクト。振り返れば2014年が幕を明けた年初に「奇数月には必ず台湾に滞在する」というとてつもなくざっくりした目標を立て、実行すること年6回。それを4年に渡ってやってきて、ついに5年目に入ったというだけの話です。どこにでもありふれた話です、はい。

……。嘘をつきました。こんなバカなことをやっている人は僕以外に聞いたことありません(むしろ同胞がいるなら名乗り出てほしい!)。喜びと苦労を誰かと分かち合うこともできない、とてつもなく孤独なプロジェクトです。

(筆者注:こんな風に書き出したものの、雑誌三つの締切が連続してしまったことで、この偉大なる記録は4年と9ヶ月で途絶えてしまうことに。またゼロからのリスタートです)

<かつての台湾観光の真実>

2009年9月、本誌7号で実施した台湾素食取材で初めて訪れた台湾での体験は、僕の人生を確実に変えてしまいました。その時の模様は「ベジ旅 台湾」という16ページの小冊子に結実し、さらに雑誌企画による台湾素食ツアーも実施。実は、それが日本初の台湾素食をテーマにしたものとなりました。

今からは想像もつかないかもしれませんが、「台湾へ旅行する」という選択は、当時の日本人にとってそれほど優先順位が高いものではありませんでした。日本人の旅行先ランキングでは7位前後を推移し、台湾政府が「どうにかもっと台湾に来てくれる日本人を増やすことができないものか」と頭を捻らせていたくらいです。それが今やタイとの3位争いを常に続けているのですから(1位は韓国、2位はハワイ。これは不動の2トップ)。

だからこそ、僕たちは「台湾には世界に誇る素食文化があるじゃないですか! それを特集すべきですし、それを食べるツアーを組んだら喜んでもらえるはずです。台北は間違いなく世界に誇るアジアでナンバー1のベジタリアンシティです」と熱弁したものでした(この時点で台湾に行ったことはおろか、飛行機にすら乗ったことがなかったのに、どの口が言うって感じですが……)。

「そうなんですか? 小籠包とかの方が日本人には喜ばれるのではないですか?」

「いや、僕たちはベジタリアン雑誌ですから、小籠包は無理なんです・苦笑」

「でも、あまりにもローカルすぎて、素食を日本人の方が喜んでいただけるなんて、想像もできないですよ……」

「日本各地でベジタリアンレストランが増えてきた今こそ、台湾素食という唯一無二の食文化の素晴らしさをアピールするべきなんです!」

そんなやり取りをしたことを、今でも鮮明に記憶しています。当時の台湾における日本人の観光は、主要な名所旧跡以外では、小籠包や足裏マッサージやSPA、占い等をメイン訴求にしていました。かの九份に行っても、ほとんど人がいなかったのですから。そんなこと信じられます? そして時代は変わり、あれだけ難色を示された素食店も、どのガイドブックを読んでも必ず掲載されています。そして、何よりも海外の流れを汲んだヴィーガンレストランの充実度は、まさにアジア随一であると断言できるのです。

こちらが2009年に制作した小冊子「ベジ旅 台湾」と、東日本大震災における台湾からの多大なる義捐金を受け、感謝の意味合いも込めて作られたその続編「ベジ旅  台南&高雄」。どちらも今では入手困難。ちなみに、最初の小冊子ではこの小冊子の内容が味わえる「台湾素食ツアー」も実施しました。大崎はツアーガイドとして参加。

<台湾を日常にするということ>

僕自身も、初台湾からの約10年間で、かの地を訪れた回数はのべにして37回にのぼります(2018年11月現在)。これは、好きやマニアを自称するには十分なくらいで、人に何かを伝えることができるだけの情報量を持つくらいにはなる回数だとは思います。

そんなわけで、この連載は、veggy副編集長の大崎が、台湾を愛する理由やガイドブックにもあまり載らないことや、ベジタリアン&オーガニックなレコメンドショップを気ままに書き綴るものであり、これを読んだ方が一人でも台湾に興味を抱いてくれて、あまつさえかの地を訪れてくれたらいいなと思い描くものなのです。さらに、一度行ったことがある人がリピート計画を立ててくれたら、僕のミッションはコンプリート。

1年間の滞在日数は、すでに「台湾>実家」となって久しく、トータルすると年間1ヶ月以上は台湾に滞在していることになります(数えてみたら昨年の滞在日数は36日間でした)。あまりにも台湾に行き過ぎることから社内で疑惑の目を持たれてしまったこともあり、最近は“いやぁ、実は祖父が台湾人なんですよ。だから里帰りみたいなもんです。大のおじいちゃん子だったんで、僕(笑)”と平然と嘘をついています。死人に口なしを言いことに、家系図を勝手に書き換えてしまったのだけれど、言霊って不思議なもので、台湾を訪れるたびに「実家に帰ってきたなぁ」という気分になるのです。そして東京にいる時間は、省エネモードに切り替えて極力やり過ごすという生き方を実践中。

連載タイトルは「台湾を日常に/台湾が日常に?」。多くの人は海外への旅について、非日常を感じるために行くのかもしれませんが、僕は日常を求めて足を運んでいます。つまり、東京での生活をそっくりそのまま向こうで行うということ。本屋や美術館へ行ったり、映画を観たり、ライブを観たり、服を買ったり、散歩したり、図書館で原稿を書いたり、そんな毎日を過ごしています。

ちなみにコンプレックスは、37回も行っている癖して、中国語がまだ話せないということです。

こんな僕ですが、皆さんよろしくお願いいたします。

請多多指教!

9月の滞在時は、台中へ足を伸ばして、台湾プロ野球を観戦してきました。場所は台中洲際国際棒球場(インターコンチネンタル野球場)。見事なボールパークです。数多ある台湾のガイドブックの中でも一度も紹介されたことがない(断言)、台湾プロ野球を地元のサポーターたちとゆるく観戦って、本当にオススメです。日本人も誰もいないしね。この話はまた別の回にでも。
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