スプリング・クリーニングで春を迎えるイギリス

まだまだ肌寒い日が続いていますが、随分と日照時間も長くなり3月末には夏時間に時計が変わるイギリス。少しずつ日中の日差しにも春の訪れを感じます。

イギリスでは3月はスプリング・クリーニングと言って、一斉に家や街中の清掃をし、綺麗にしてから春を迎えるという風潮があります。日本でいうと年末の大掃除のような感覚ですかね。冬の間締め切って室内に溜まったホコリや汚れを綺麗にして、新しい季節を迎えるというこのスプリング・クリーニング。始まりは国や宗教により諸説あるようですが、昔からの習わしとして今でも多くの人が3月から4月の頭までの時期に大掃除に取り組んでいます。いつスプリング・クリーニングを行うのかは地域により多少違いがあるようですが、3月の第4日曜日前後に行うことが一般的のようです。ですので、この時期スーパーなどの店内では清掃用品のセールを全面に打ち出しているところを多く見かけるようになります。

グレイト・ブリティッシュ・スプリング・クリーン

近年、イギリスではグレイト・ブリティッシュ・スプリング・クリーンと銘打って家の中だけでなく、街や海岸、山など公共の場所も綺麗にしましょうという環境キャンペーンが行われています。2020年の今年は3月20日から4月13日までの期間、多くの人がボランティアで掃除道具を持ちあい街の中を綺麗にする活動に参加します。タバコの吸い殻やポイ捨てされたゴミを拾ったり、家族で清掃活動に参加したり、公共の場を自分たちで綺麗に保とうという意識改革に一役買っています。

日本の学校では清掃時間がきちんとあり、自分たちの教室や学校を生徒たち自らが綺麗にするという体験を通して、子どもの頃から掃除をする習慣が身につくというとても素晴らしい風習がありますが、イギリスではこういった掃除の文化はほとんどなく、清掃には外部の業者が入る場合が多いです。ですので、自分の身の回りを自分たちで掃除して綺麗にするという概念が子どもの頃から身につきにくい傾向があります。そのため、ブリティッシュ・スプリング・クリーニングのようなキャンペーンを立ち上げ、掃除の大切さを伝えるというのは、掃除が習慣化されてない環境にある子どもたちにとっては新鮮でもありまたとても大切な教育の機会にもなっています。

エコな掃除用品で環境に優しく

さて掃除に使う清掃用品ですが、ここ数年特に目立ってきているのが、有害なケミカル物資を排除し、天然由来の原材料やプラントベースの原材料のみでできた環境に優しいクリーニング製品。イギリスでも多くのブランドが発売されており、売上も好調です。小さな子どもやペットのいる家庭でも安心して使うことができるのも人気を後押ししています。さらに環境のことを考え、プラスティックの無駄な使用を極力避けるため、空になったボトルを持ち込んで中身を詰め替えできるお店も増えてきています。

また環境汚染の観点から、市販の清掃用品を使うのではなく、昔ながらの方法で掃除をすることにも注目が集まっています。重曹やアップルサイダービネガー、ベイキングソーダなどを汚れ落としに使ったり、最近では健康食品を扱う専門店などで、日本のタワシもよく見かけるようになってきました。

また室内の淀んだ空気や臭いには、市販の芳香スプレーなどではなく、アロマオイルを薄めた自家製スプレーを使ったり、お香を焚いたり、アロマディフーザーを使ったりというようにナチュラルなものを好む傾向も増えてきています。

さらに最近では、従来の清掃用品に代わって化学物質など健康に有害な物を含まない、エコプロダクトのみを使用することを謳った、家庭やオフィスの清掃を請け負うエコ・クリーニング代行業者も見かけるようになりました。小さな子どもやお年寄りがいる家庭、ペットを飼っている家や、共働きで忙しい家庭から重宝されているそうで、利用客の評価も上々のようです。

日も長くなり、窓を思いっきり開けて掃除したくなるこの季節。環境に優しいケミカルフリーな大掃除に取り組んでみるのはいかがでしょう?

プロフィール:デルガド倫子
2001年よりイギリス在住。ロンドンの出版社勤務を経て、フリーに。書籍、ファッション雑誌、カルチャー誌、メンズ誌、ウェブサイト等に幅広い分野でイギリスからの情報を提供。趣味は旅行、読書、片付け。


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